2016 Fiscal Year Annual Research Report
Interactions within chromatin domains by a mathematical model of chromosomes with epigenetic information
Publicly Offered Research
Project Area | Chromosome Orchestration System |
Project/Area Number |
16H01408
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新海 創也 広島大学, 理学研究科, 特任助教 (60547058)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 染色体動態 / 染色体構造 / 生物物理 / 計算物理 / ゲノム情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブMbサイズの染色体構造に埋め込まれた動的なゲノム情報の実相を明らかにするため、我々が構築してきた染色体数理モデルを基礎にモデリング・解析手法の開発を進めた。 間期クロマチンファイバーは生体高分子であるため、高分子モデリングに基づいてモデルの開発を行った。最初に、フラクタル次元に特徴付けられるクロマチンドメインを形成するようなヌクレオソームファイバーの数理モデルを考案した。この数理モデルのダイナミクスと実際のヌクレオソーム動態を比較することで、クロマチンドメイン内のヌクレオソーム動きとドメイン構造が相互に関係していることを見出した。この結果は2報の査読付き論文として発表することができた。次に、染色体高次構造を実現するために高分子モデルにヒストン修飾情報を実装することを試みた。ヌクレオソーム-ヌクレオソーム間相互作用を斥力・引力ポテンシャルを使って表現し、染色体高次構造を形成するための物理的なパラメータを決定した。 一方で、上記のモデルを数値シミュレーションする場合に、ヌクレオソーム-ヌクレオソーム間相互作用のような二体相互作用を考慮した結果としての計算量の増大が課題となる。この課題をクリアできるモデリング手法の開発に成功した。さらに、この方法はHi-Cのような染色体高次構造データに基づいたサンプリング配置データに応用可能であることを見出した。これによって、パラメータ設定不要のHi-Cデータに基づいた染色体動態シミュレーションが可能になった。現在、バルセロナのグループとの国際共同研究として進展している。 新学術領域内での理論研究の立場を活かして、実験グループとの領域内共同研究が1件進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画時に想定していたよりもチャレンジングなモデリング手法を構想することができた。さらに、染色体高次構造に関わる構造モデリングを行っているバルセロナのグループとの共同研究に進展した。また、新学術領域内の実験データにも応用できる見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画時に構想していた分子修飾情報の実装を少し変更し、その分子修飾情報の結果引き起こされる染色体高次構造情報に基づいた染色体動態数理モデル、及び、計算プラットホーム開発の完了を目指す。そして、染色体構造に埋め込まれた動的なゲノム情報の実相を明らかにしていく。
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