2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of improved ZIP tag-probe system for fluorescent imaging of protein synthesis in cells
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
16H01420
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野村 渉 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (80463909)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / 分子進化 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体高分子や代謝産物などを標的とした蛍光イメージングは非侵襲的に細胞や個体を観察可能なことから,それまで明らかでなかった細胞内イベントを解明することに役立っている。ゲノム編集技術は主にゲノム上の標的配列を特異的に切断するヌクレアーゼの作用によって修復時に変異が導入され,タンパク質のノックアウトに利用される。ここ数年でのCRISPR-Cas9システムの開発によって従来と比較して研究期間の大幅な短縮が実現されている。また,ゲノム上でのタンパク質配列の改変などこれまでとは異なる利用方法の実現が望まれている。本研究ではゲノム上の標的タンパク質遺伝子にタグ遺伝子を導入して,恒常的なタンパク質発現という条件下での観察手法を開発する。そのために,蛍光イメージング法とゲノム編集技術を組み合わせた,より高精度なタンパク質挙動観察の手法を確立する。これまでに開発してきたタグ-プローブシステムはタンパク質に遺伝子工学的に導入することができ,タグ-プローブペアの会合とほぼ同時に蛍光の増大が見られる。この特長を利用してタンパク質蛍光イメージングの問題点を克服するシステムを構築する。初年度ではペプチド合成によって作製したタグ,プローブペプチドを用いてストップトフロー法により蛍光増大に要する時間を測定した。タンパク質翻訳過程から局在化までを追跡するためにtet-onプロモーターをもつプラスミドを用いて細胞内で観察を行う計画を立てた。ストップトフロー装置を利用した蛍光強度変化の測定では当初予測していた通り,会合による蛍光増大が非常に早い反応であると示唆された。また,tet-onシステムで利用するタンパク質発現ベクターの構築も計画通りに行い,GPCRである(アドレナリンレセプター)ADR,ヒストンタンパク質(H2B)に赤色蛍光タンパク質mKOを融合したマーカータンパク質の発現について検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究実施計画では下記の項目を立てていた。下記項目2-4は実施することができたため順調な進展と評価している。 1.分子進化法によるタグ配列の最適化:タグ-プローブ形成による蛍光強度増大について,その変化量を最大化するためにタグ配列全体に変異を導入したライブラリーを用いて最適化する。ライブラリーサイズ,細胞表面提示の手法などを考慮して酵母を用いた実験(yeast display法)を利用する。 2.タグおよびプローブペプチドの合成と精製 タグ-プローブペア形成の速度論的解析を行うためにタグペプチドとプローブペプチドをFmoc固相合成法によって合成する。プローブには環境応答性蛍光基である4-nitrobenzo-2-oxa-1,3-diazole(NBD)を用いる。NBDは2,3-diaminopropanoic acidと縮合し,Fmoc化して固相合成に用いる。タグは比較的長鎖であるため,2つのセグメントに分けて合成し,Native Chemical Ligation法によって連結する手法をとる。 3.タグ-プローブペア形成による蛍光増大過程の解析 ストップトフロー装置を設置した蛍光分光光度計を利用して,タグとプローブを混和後の蛍光増大を測定する。また温度変化による蛍光増大の違いなども確認する。 4.tet-on型プロモーターを利用した転写開始制御系の構築 細胞内においてタグ-プローブペアの形成を時間的に制御できることを検証する。標的タンパク質を可視化するために常に蛍光観察できる蛍光タンパク質遺伝子(monomer Kusabira Orange:mKO)をC末端側に導入する。 未消化の項目として,項目1の分子進化法によるタグ配列の最適化が挙げられるが,これについては大腸菌を用いる系と並行して構築中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度完了できていなかった酵母を用いたタグペプチドの分子進化実験(yeast display法)を行う。細胞表面に提示されるAga2との融合タンパク質としたプラスミドを構築して酵母に導入する。タグ融合Aga2が発現された酵母にプローブペプチドを加えるとタグ-プローブが形成された場合に蛍光が観察される。蛍光強度の高い酵母集団をフローサイトメトリーで選抜(ソーティング)して,それらの酵母から得られるタグ遺伝子情報を解析する。 異なる局在を示す標的タンパク質のタイムラプス観察:これまでの検討から得られた最適条件を利用してタグ-プローブペア形成による標的タンパク質の観察を行う。細胞を1-ピレンブチレートで処理した後に観察用顕微鏡(共焦点レーザー蛍光顕微鏡(TCS SP-8,Leica)と超解像顕微鏡システム(ELYRA,Zeiss)を利用)にマウントし,プロープペプチドを加えた直後から観察を開始する。タンパク質翻訳は細胞質で開始されるため細胞質から細胞膜や核への蛍光の移行が観察されると期待される。加えたプローブが既に翻訳されているタグ融合標的タンパク質と会合するが,プローブ添加前からタイムラプス観察することで添加前後での蛍光差を画像解析によって評価し,新生した標的タンパク質を捉えている蛍光を抽出する。 ゲノム編集技術を利用したタグ遺伝子の標的タンパク質遺伝子への組込み:両アレルにタグ配列遺伝子が導入された細胞選択とクローン樹立 培養した細胞群はタグ配列遺伝子をどちらかのアレル,もしくは両アレルに持ったものが混在している。より明確な観察結果を得るためにここでは両アレルにタグ配列遺伝子を持つ細胞を選択してクローン化する。 タイムラプス観察はtet-onシステムをまず最初に利用して観察条件を確定し,ゲノム編集後の細胞を利用してゲノムにコードされたタグペプチド融合体の発現解析を実施する。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] A Minimally Cytotoxic CD4 Mimic as an HIV Entry Inhibitor2016
Author(s)
Takaaki Mizuguchi, Shigeyoshi Harada, Tomoyuki Miura, Nami Ohashi, Tetsuo Narumi, Hiromi Mori, Yu Irahara, Yuko Yamada, Wataru Nomura, Shuzo Matsushita, Kazuhisa Yoshimura, Hirokazu Tamamura
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem. Lett.
Volume: 26
Pages: 397-400
DOI
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