2016 Fiscal Year Annual Research Report
高精細な発光トモグラフィを実現する生物発光源の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
16H01422
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
口丸 高弘 東京工業大学, 生命理工学研究科, 研究員 (10570591)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物発光 / 超音波 / トモグラフィ / ルシフェラーゼ / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体深部組織に位置する生物発光源の空間分布情報を得るために、集束超音波と相互作用して、発光強度を変調する遺伝子コード型生物発光レポーターの開発に取り組んだ。今年度は、当初の計画に従って、(1)集束超音波と生物発光源の相互作用をリアルタイムで検出する測定装置の自作、(2)集束超音波によって生成される活性酸素種(ROS)に応答して発光強度が変化するルシフェラーゼセンサーの開発を進めた。 (1)に関しては、ポリカーボネイト容器内に配置した発光酵素・基質混合溶液、もしくは発光酵素発現細胞に対して、専用のシリコンゴム導波管を用いることで、1 MHzの高周波集束超音波の減衰を最小限にとどめて照射するシステムを、可視から近赤外波長領域に十分な感度をもつ微弱光検出機に組み込んだ。開発した計測装置の動作確認のために、共同研究者である東北工業大学・小林研究室で開発された装置との比較実験を実施し、野生型ホタルルシフェラーゼと集束超音波との相互作用を検出可能であることを確認した。更に、超音波の周波数を変化させることで、ホタルルシフェラーゼの発光反応の応答性が変化することに加え、ウミシイタケルシフェラーゼとセレンテラジンの発光反応についても、集束超音波と相互作用することが明らかになった。 (2)に関しては、ROSと反応して立体構造を変化させる大腸菌由来のタンパク質ドメインを分割型ホタルルシフェラーゼに組み合わせることで、ROS応答性ルシフェラーゼの開発を目指したが、非常に小さなROS応答性しか得られず実用に足る発光システムの開発には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
集束超音波と生物発光源の相互作用解析装置の開発は計画通り進展したものの、分割型ルシフェラーゼを基本原理に用いたROS応答性ルシフェラーゼの開発に関しては期待していたような成果は得られなかった。ROS応答性ドメインを組み込む位置や分割型ルシフェラーゼのタイプも複数検討し、30種類近くの分子設計を試したが、ROS応答性は非常に小さく、 ROS応答性ドメインの構造変化が十分大きくないことも考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波が生体分子に相互作用する要因として、ROSの他に機械的な圧力が考えられている。超音波が生体材料を透過する際、局所的な圧力変化が生じ、キャビティの生成・崩壊が伴う。その時、衝撃波が発生し、生体分子に何らかの影響を与えるとされている。今年度の検討から、ROS応答性ルシフェラーゼの開発が困難であると考えられたため、次年度は、機械的な圧力変化に応答する発光源の開発に取り組む。
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