2016 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光制御分子の化学デザインと生体イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
16H01428
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00444563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PYPタグ / 蛍光スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
RESOLFTは、蛍光スイッチングを利用する超解像イメージング技術の一つである。この手法では、フォトクロミックな蛍光分子を用いて、その分子の光励起に続きドーナツ状の抑制光を照射することで、実質的に励起範囲を微小化し、その結果、分解能を向上させる。これまでに、様々な蛍光スイッチング蛍光蛋白質でRESOLFTが達成されている。これに対し、蛍光色素では、種々のフォトクロミックな蛍光プローブが開発されているものの、大量のチオールを用いるシアニン系スイッチング分子と光安定性の低いジアリルエテン誘導体以外には、生体試料のRESOLFTの報告例がないのが現状である。一方、蛍光色素は、蛍光蛋白質に比べ、輝度の高さや光安定性に優れているといった利点が多くあり、蛍光色素を用いた方法の開発が望まれる。そこで本研究では、光スイッチング蛍光色素の開発に取り組んだ。 光照射により、光スイッチングできる分子を設計する予備検討として、最適な蛍光色素の探索を行った。まずは、蛍光色素の蛍光を制御できる分子を化学合成し、その制御能を蛍光分光計にて検討した。その結果、光照射に伴い蛍光強度を変化させる複数の分子系を発見した。光照射に伴う分子の構造状態が変化しているかどうかを紫外・可視分光測定、NMR、及びHPLCによって行った。その結果、光照射により構造が変化していることが確認された。以上の結果から、光スイッチング可能な分子の構造に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、光照射に伴い蛍光スイッチングが可能な分子系を構築することが当初の目的であった。化合物探索を行い、蛍光を制御する分子を化学合成し、各種分光学的測定及びHPLCにより、光照射により分子構造の変化を伴い、蛍光を制御できる分子について知見が得られた。以上の結果は、当初の目的を概ね達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、光照射により蛍光強度を変化させる複数の分子系を発見している。今後は、これらの分子系を一つの蛍光スイッチングプローブとして分子設計し、蛍光強度を制御できるかを検討する。また、プローブを蛋白質に結合させ、蛋白質上でも同様の蛍光スイッチングが起きるかを明らかにする。この後に、超解像イメージングへと展開する。
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