2016 Fiscal Year Annual Research Report
超解像からin vivoイメージングまで使える酸化ストレス分子マッピング法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
16H01432
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平山 祐 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10600207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イメージング / 活性酸素種 / 酸化ストレス / 超解像イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は酸化ストレスに関与する分子種を、化学種特異的に検出し、かつ超解像イメージングやin vivo、ex vivoイメージングにおいても高い空間分解能で観察可能にする技術を開発するものである。当該年度においては、化学種特異的に反応して、活性中間体であるキノンメチドを生成する反応を確立することを目標とし、研究を実施した。まず、標的分子としては鉄(II)イオンとスーパーオキシドを選択した。これまでに当研究室においてはN-オキシドの化学を利用した鉄(II)イオン選択的検出法を開発している。本反応を応用し、鉄(II)イオンとの反応に伴い、キノンメチドの生成とともに蛍光強度が増大する分子を開発した。本分子の鉄(II)イオンとの応答性に関して、蛍光スペクトル変化、HPLCおよび質量分析にて検討した。結果、鉄(II)イオンとの反応に伴い、所望の反応が進行し、蛍光強度の変化も確認できたが、反応速度が非常に遅く、かつ予想に反して蛍光が減弱するという結果となり、生体内での使用には至っていない。一方、スーパーオキシド検出分子については、これまでに報告されているスーパーオキシド蛍光プローブに倣いトリフラートを検出分子部位として利用し、反応に伴い、蛍光の増大とキノンメチドの発生が同時に起こる分子設計とした。これについてはいくつかの類縁体を合成し、蛍光測定、HPLC、およびLC-MSにてスーパーオキシドとの反応について検討した。その結果、反応速度は遅いながらもキノンメチドの生成とともに蛍光が増大する様子が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の計画では各酸化ストレスプローブ分子のを開発し、その評価までを実施する予定であったが、合成・評価を達成したものが鉄(II)イオンとスーパーオキシドに関するもののみである。また、水溶液中での分解反応や蛍光消光が不十分であったことにより分子の再設計が必要であったことから、他の活性酸素種に関しては未達成である。現在構造最適化を実施しているところであるが、当該計画では次年度に細胞でのイメージングを実施することを計画していたことから、現状を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、現在問題となっている水溶液中での加水分解反応を防止し、かつ標的活性酸素種に対する鋭敏な応答性を達成すべく、分子内の応答性部位の構造展開を実施し、効果的にキノンメチド中間体を生成する反応を見出す予定である。さらに、酸化ストレスに関連する金属種に関してはラジカル反応を経由する生体分子修飾反応の開発を検討し、細胞内で機能するプローブ分子群を確立し、超解像蛍光イメージングおよびex vivoイメージングへと展開していく予定である。
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