2016 Fiscal Year Annual Research Report
3D連結したミクロ高分子液滴の相転移と形のパターン形成から生物形態を見る
Publicly Offered Research
Project Area | Discovery of the logic that establishes the 3D structure of organisms |
Project/Area Number |
16H01443
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
柳澤 実穂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50555802)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞組織モデル / 組織形態 / 相転移 / 膜変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の組織には、複数の細胞全体で機能に適した形となるような秩序が存在する。この秩序は、物理的には細胞数と細胞配置、細胞内構造、細胞形態の強い相関によると予想されるが、要素の多さゆえこの相関関係を分子から読み解くことは困難である。そこで本研究では、脂質膜で覆われたミクロ高分子液滴を細胞モデルとして用い、それを2-3次元で規則的に集積させることで細胞組織モデルを作成する。その後、この細胞組織モデルの形態と、細胞間接着力、細胞内力学などとの相関関係を解明することで、細胞組織の形態制御における基本原理に迫ることが目的であった。平成28年度は、(1) マイクロ流路を用いた細胞組織モデルの作成技術、(2)細胞モデルの細胞内力学の測定法と制御法に関して得られた成果を報告する。 (1)マイクロ流路を用いた細胞組織シートの作成 細胞サイズの高分子液滴を大量作製するマイクロ流路デバイスを設計し、液滴表面を覆う脂質膜の緩和速度を制御することで、液滴同士を融合させることなく平面充填させた上で膜接着させて、100個以上の液滴をからなる細胞組織モデルを作成することが可能となった。この時得られた細胞組織モデルは、液滴同士の接触角が約120度となり、2次元での最密パターンである六角形状となっていることが確認出来た。 (2)細胞モデルの細胞内力学と力学特性 細胞組織モデルの形態と細胞内力学との相関関係を解析するために、細胞モデルの力学特性の測定と制御の手法を確立した。ゲル化する高分子を内包した細胞モデルの弾性を、マイクロ・マニュピュレーターにより測定したところ、膜による細胞サイズ閉じ込めによって通常のバルク量よりも硬くなることが分かった。また、その他の生体高分子を用いることで、従来報告されている細胞と同程度の弾性率を備えた細胞モデルの作成や、高分子の構造転移を介した粘弾性の制御も可能となりつつあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流路を用いた高分子液滴の大量形成と、その2次元集積による細胞組織モデルの形成に成功している。また、この細胞モデルの内部にゲル化する高分子を添加することで、細胞とほぼ同程度の硬さを付与すること、高分子の構造転移に伴う内部粘弾性の制御が可能となってきた。それゆえ、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に確立した、マイクロ流路を用いて細胞組織モデルを作成する技術と、細胞並みの力学的性質を付与し、制御する実験系を組み合わせることで、内部の粘弾性変化に伴う細胞組織モデルの膜形態変化を解析する予定である。
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Research Products
(12 results)