2016 Fiscal Year Annual Research Report
上皮組織の複雑な3次元変形動態と細胞メカニクスを定量的につなぐ
Publicly Offered Research
Project Area | Discovery of the logic that establishes the 3D structure of organisms |
Project/Area Number |
16H01453
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森下 喜弘 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, ユニットリーダー (00404062)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発生動態 / 理論生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、『上皮組織の複雑な3次元変形動態と細胞メカニクスを定量的につなぐ』を研究課題名とし、実験研究と理論研究の両サイドから下記の課題に取り組むことを目的とする。 (1)初期脳発生過程における3D変形動態を決める細胞メカニクスの解明 (2)脳発生過程と心臓発生過程の定量的比較解析と形の操作 これらの研究を通じて、脳・心臓発生過程において、組織内応力および力学関連分子シグナル活性の時空間パタンがいつ、どこで、どの程度、組織の変形量に関与しているのかが定量的に明らかとなる。また、チャレンジングな課題として脳・心臓の形づくりに重要な細胞力学動態を人工的に操作し、形態を変えることで、形態決定メカニズムの検証に挑戦する。
研究課題(1)に関しては、ニワトリ胚を用いて神経管から眼胞形成過程に至るまでのDrasticな形態変化に対して、組織レベルの変形動態を定量的に解析した。その結果として、このステージにおける形態形成過程は、細胞増殖や細胞形態の変化による局所的な体積変化率ではなく、Medio-lateral軸方向に細胞集団が異方的に変形することで実現されることを明らかにし、結果をNature communications誌 [Morishita et al., Nat. Commun., 2017]で報告した。また、これまでに細胞動態を見るための4Dイメージング計測系を確立し、現在そのデータ解析を行っている所である。研究課題(2)に関しては、前脳形態形成過程と同様の解析(組織レベルの変形動態と細胞動態)を行っており、順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の概要のところで述べたように、前脳形成過程に関する組織変形動態を定量的に解析した結果は論文として報告した。また、心臓形成過程に関しても順調に進んでいる。
力学的な観点からは、Preliminaryではあるが、レーザーアブレーション実験による組織内応力の計測と超弾性体連続体力学モデルを用いたシミュレーション研究の両方からアプローチしているところであり、現時点では、実験と理論予測の間の整合性を確認している所である。応力の異方性を生み出す原因を明らかにすべく、chemical perturbationを与えた際の細胞動態を調べている段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)に関しては細胞動態(集団運動のパタン)を定量的に解析し、すでに明らかとなった組織レベルでの変形動態との対応関係を明らかにすることを目指す。また、「現在までの進捗状況」で述べたように、力学的な観点からのアプローチ(レーザーアブレーション実験と超弾性体連続体力学モデルを用いたシミュレーション研究)を継続し、結果の再現性を検証していく。
(2)に関しては、まず心臓発生過程に関しても組織変形動態解析と細胞動態解析を行い、形態形成に寄与する因子を分子・細胞レベルで明らかにすることを目指す。その後、前脳発生過程と心臓発生過程における形態形成主要因子をスワップすることで、形態形成過程の制御可能性を探っていく。
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Research Products
(4 results)