2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンSUMO化による転写調節機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
16H01458
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 謙治 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00507949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物 / シグナル伝達 / 遺伝子 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)SUMO E3リガーゼSIZ1によるメチル化ヒストンH3K4の調節機構の解明 植物SIZ1において、動物SIZ/PIASオルソログには存在しないPHDドメイン(C4HC3ジンクフィンガー)の機能解析を行った。まず、このPHDドメインがトリメチル化ヒストンH3K4me3と結合することを明らかにしたが、この結合がPHDドメインによるものかを明らかにするため、PHD(C162S)を作製し、H3K4me3との結合を調べた。PHD(C162S)ではH3K4me3との結合が見られなかったことから、H3K4me3の結合にはPHDが重要であることが示された。SIZ1内のPHDドメインが生物学的にどれぐらい重要であるかを調べるために、siz1変異体にSIZ1pro:SIZ1、SIZ1pro:SIZ1(ΔPHD)、SIZ1pro:SIZ1(C162S)を導入したところSIZ1pro:SIZ1(C162S)ではsiz1変異体の形質を相補できなかった。また、PHDはヒストンメチル化酵素ATXと相互作用することが明らかとなった。ATX1はWRKY70におけるヒストンH3K4のメチル化に関わっており、atx1変異体ではH3K4me3が低くなり、siz1変異体ではH3K4me3状態が高くなっていることが明らかとなった。これらのことから、WRKY70のH3K4me3状態の調節にSIZ1が関わっていることが示唆された。
2)SUMO化ヒストンによる遺伝子発現調節機構の解明 ヒストンSUMO化が転写促進/抑制にどのように関わるかを明らかにする目的で、SUMO1(Q90A)-H4およびSUMO1(Q90A)-H3を発現させた植物体を作製中である。Q90Aに置換すると脱SUMO化できないという先行研究をもとにしている。SUM1(Q90A)-H4に関してはホモ固定個体が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PHDドメインによるH3K4me3の状況認識を明らかにすることができ、しかもWRKY70におけるH3K4me3の状態にSIZ1が関わることを明らかにすることができた。これらを現在まとめ中であり、論文投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) SUMO化ヒストンによる包括的な発現調節機構 ヒストンのSUMO化が見られるかをin vitro SUMO化反応により明らかにする。この反応によりSUMOによって調節されるヒストンを明らかにする。また、脱SUMO化されないSUM1(Q90A)-H3およびSUM1(Q90A)-H4を発現する植物体を作製しており、ホモ固定植物が取れ次第、SUMO化ヒストンがどのような因子と相互作用することによって、転写調節を行っているかをプロテオーム解析により明らかにする。また、SUM1(Q90A)-H3およびSUM1(Q90A)-H4が安定的に植物体内で働くことが明らかになれば、SUMO化ヒストンがどのような領域に存在する可能性が高いかをChIP-seqにより明らかにする。
2) SUMO E3リガーゼの役割分担 植物においてSUMO E3リガーゼはSIZ1とMMS21の2種類のみであると考えられる。この2つは先行研究により、生化学的には同じ酵素活性をもつが、生物学的に別々の役割を担っていると考えられている。その役割分担を明らかにする目的で研究を行う。SUMO E3リガーゼはSUMO化における最終段階に位置する酵素で、基質を認識して、その基質をSUMO化するために必要である。そこで、これらのタンパク質に相互作用するタンパク質を明らかにすることで、SUMO化を行う基質の違いを明らかにすることが出来ると考えられる。基質の違いが分かれば、その機能の役割分担も明らかにできると考えられる。SIZ1は酵母2ハイブリッドスクリーニングにおけるMatchmakerシステムでは発現しないことから、DUALhunterシステムを用いて相互作用因子を明らかにする。その相互作用因子の中から、転写制御に関わると考えられる因子を特定し、in vitro SUMO化反応によりSUMO化を調べる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Targeted base editing in rice and tomato using CRISPR-Cas9 sytidine deaminase fusion2017
Author(s)
Shimatani, Z., Kashojiya, S., Takayama, M., Terada, R., Arazoe, T., Ishii, H., Teramura, H., Yamamoto, T., Komatsu, H., Miura, K., Ezura, H., Nishida, K., Ariizumi, T., & Kondo, A.
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Journal Title
Nat. Biotechnol.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Transcriptiome and proteome analyses provide insight into laticifer’s defense of Euphorbia tirucalli against pests.2016
Author(s)
Kitajima, S.*, Miura, K.*, Aoki, W., Yamato, K.T., Taira, T., Murakami, R., & Aburaya, S.
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Journal Title
Plant Physiol. Biochem.
Volume: 108
Pages: 434-446
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] An Arabidopsis SUMO E3 ligase, SIZ1, negatively regulates photomorphogenesis by promoting COP1 activity2016
Author(s)
Lin, X.L., Niu, D., Hu, Z.L., Kim, D.H., Jin, Y.H., Cai, B., Liu, P., Miura, K., Yun D.J., Kim, W.Y., Lin, R., Jin, J.B.
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Journal Title
PLoS Genet.
Volume: 12
Pages: e1006016
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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