2016 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の受粉における自己認識システムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
16H01467
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 壮太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90716713)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 受粉 / 自家不和合性 / シグナル伝達 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)自家不和合性反応時のカルシウムイオン流入経路の解明 アブラナ科の自家不和合性では花粉表面に局在する低分子タンパク質SP11が、雌蕊先端の乳頭細胞に局在するSRKに直接的かつ特異的に受容されて自己花粉認識反応が引き起こされる.これまでの研究で、このSP11とSRKの相互作用後に雌蕊細胞でカルシウムイオンの流入が起こることを示してきた.本研究では自家不和合性反応機構がどのように制御されているのか、さらなる解明を目指す.今年度は、BRETを利用したカルシウムセンサーであるNano-lantern(Saito et al., 2012)を、雌蕊先端細胞で特異的に発現する系統の作成を行った.この系統からプロトプラストを調製し、SP11を添加する事でカルシウムイオン濃度の増加反応を検出することができた.従って発光を利用した自家不和合性のハイスループットな検出系を確立することができた.この系を利用して外環境の変動が自家不和合性反応に与える影響を精査した.例えば、pHが反応の重要なファクターであり、自家不和合性は外環境pHが中性の時にもっとも強い反応性を示すことが明らかになった. 2)自己花粉の情報処理機構の解明 自己の花粉と非自己の花粉を同時に受粉した場合、本来15分間で発芽するはずの非自己花粉がしばらく発芽抑制される.すなわち、細胞の状態が非自己花粉を受け入れられる基底状態(状態1)から、自家不和合性反応時(状態2)を経験し、再び状態1に戻ることで、非自己花粉を選択的に受け入れる可逆性があることが示唆されてきた.本年度は、今までのカルシウムモニタリング系に加えてpH等の細胞内環境を計測する実験系を確立した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライブイメージングの準備などを予定通り確立することができてきた.顕微鏡の不調によりライブイメージング実験に一部遅延が生じたが、BRETレポーターを新たに利用することでその遅れを取り戻し、新たな成果を得ることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りライブイメージングを行い、自家不和合性と相関がある細胞内現象を明らかにする.
|
Research Products
(4 results)