2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱メチル酵素JUMONJIによる温度記憶の制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
16H01468
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 暢俊 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90767899)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境応答 / 高温順化 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
動物とは異なり、植物は脳のような情報を集積するシステムを持たないため、情報を集積することなく、環境から得た情報をすぐに感知し、応答することが重要であると予想されてきた。そのため、これまでの研究では秒・分単位で起こる短期的な応答(重力や光への反応など)に重点が置かれてきた。しかし、エピジェネティクスの研究の進展により、遺伝子発現の変化をヒストンの修飾パターンの違いとして記憶し、長期的な応答を制御可能であることがわかってきた。我々は、ヒストンH3にある27番目のリジンのトリメチル化を除去するはたらきがあるヒストン脱メチル化酵素であるJUMONJI(JMJ)の突然変異体では、高温の経験を記憶できなくなるというデータを得た。JMJはH3K27me3の脱メチル化によるHSP遺伝子の発現制御によって、この記憶を制御することを発見した。今年度は、植物が高温に対する適応能力を発揮する記憶の分子基盤を明らかにし、“植物の記憶力を向上する”方法を確立することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)JMJの下流の遺伝子発現が高温順化のために必要である。 2)JMJは高温順化を制御する遺伝子の発現を維持するためにはたらく。 3)JMJによる H3K27me3の脱メチル化が高温の記憶を制御する。 という結果を順調に得てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はa) 野生型とjmj変異体での網羅的な遺伝子発現解析、b) 経時的なH3K27me3や転写活性化にはたらくヒストン修飾パターンの解析、c) JMJタンパク質の下流遺伝子に対する結合などを解析することで、JMJを介した高温順化の分子基盤を明確にして、論文を公表することを目指す。さらに、JMJが制御する遺伝子とヒストン修飾をする領域の候補はいくつか得ている。そのため、そのような遺伝子発現制御領域を使って、記憶力を可視化・改変する取り組みを始める。
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Research Products
(3 results)