2016 Fiscal Year Annual Research Report
環境刺激による葉の形態形成の制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative system of autonomous environmental signal recognition and memorization for plant plasticity |
Project/Area Number |
16H01472
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
木村 成介 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (40339122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表現型可塑性 / 栄養繁殖 / 再生 / 葉 / 異形葉性 / 水草 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Rorippa aquaticaのゲノム解析 本年度は、R.aquaticaのゲノム配列解読を試みた。R. aquaticaのゲノムDNAをIlluminaおよびPacBioプラットフォームでシークエンスした。得られたリードのハイブリッドアセンブリにより、1,797本の配列からなるゲノムサイズ440Mbpのドラフトゲノムが得られた。ドラフトゲノムのN50は1.3Mbp、最長配列は8.9Mbpであった。k-mer頻度分析から推定されるゲノムサイズは450Mb前後であり、今後の解析に十分なゲノム配列情報が得られたと判断できた。イヌガラシ属の基本染色体数は8である。R. aquaticaの染色体数は30本であるが、細胞遺伝学的な解析から、染色体が倍加したあと、一部の染色体が融合することで30本になっていることを確かめた。 2. 環境刺激による葉の形態制御や再生過程のトランスクリプトーム解析 これまでにおこなったトランスクリプトーム解析により、フィトロム相互作用因子の一種であるPIL1の発現が葉形変化に相関していることがわかっていた。RT-PCRによりPIL1などの発現解析をしたところ、温度に応答して発現が変動していることがわかった。また、R. aquaticaの葉形変化の程度が異なる2つの地域系統では、暗所への応答やフィトクロム相互作用因子により制御されるオーキシンへの応答が大きく応答が異なっていた。現在、PIL1などのペプチド抗体を作成中である。葉断面からの再生過程についても経時的なトランスクリプトーム解析を行なった。R. aquaticaは、葉の断片の基部側の断面からのみ再生し、先端部側からは再生しない。基部側と先端部側で比較トランスクリプトーム解析をおこなったところ、基部側でのみ再生に関わる遺伝子群の発現が誘導されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の解析に必要となるゲノム配列解読を終えることができた。すでにトランスクリプトーム解析のデータは得られており、現在詳しい発現解析を実施しているところである。研究計画で実施する予定であるエピジェネテックな解析についても、バイサルファイトシークエンスのライブラリ作成にはいっており、概ね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
R.aquaticaのゲノム情報が得られたことで、今後ChIP-seq法によるヒストン修飾の解析や、バイサルファイトシークエンス法によるDNAメチル化解析などが可能になった。現在、温度変化にともなうDNAメチル化の変動と、葉断面からの再生過程におけるDNAメチル化の変動について全ゲノムバイサルファイトシークエンス法による解析を始めたところである。今後、トランスクリプトーム解析の結果と統合的に解析することで、ヒストン修飾やDNAのメチル化と転写制御との関係を明らかにしていきたい。
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Research Products
(38 results)