2016 Fiscal Year Annual Research Report
時間分岐表象における倫理的・心理的価値付与の分析
Publicly Offered Research
Project Area | The Science of Mental Time: investigation into the past, present, and future |
Project/Area Number |
16H01511
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
青山 拓央 山口大学, 時間学研究所, 准教授 (20432734)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 時間 / 自由意志 / 責任 / 幸福 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は〈課題a:時間分岐的な可能性表象の分析〉と〈課題b:分岐表象における価値付与の分析〉の二つから成り、平成28年度には単著の著書二冊を発表した。また、課題aの基礎にある時間知覚の研究に関して、共著論文一篇を国際誌に発表した。以下に書誌情報と概要を記す。 [著書1]青山拓央, 『時間と自由意志:自由は存在するか』, 筑摩書房, 2016. 11.[著書2]青山拓央, 『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』, 太田出版, 2016. 9.[共著論文]Miyazaki, M., Kadota, H., Matsuzaki, K. S., Takeuchi, S., Sekiguchi, H., Aoyama, T. & Kochiyama, T., “Dissociating the neural correlates of tactile temporal order and simultaneity judgements”, Scientific Reports, vol. 6, Nature Publishing Group, 2016. 4. [著書1概要]博士学位論文(慶應義塾大学, 2016. 2.)に加筆したものであり、時間分岐的様相と自由意志・責任帰属との関係について、多角的な考察がなされている。現代哲学において標準的な「両立論的自由/非両立論的自由」の二分を詳細に論じたのち、後半の章ではこの二分を超えた新たな自由意志論が展開される。[著書2概要]著書1での知見を背景としつつ、時間分岐的様相と価値認識との関係を、「幸福」の多義性分析を通じて明らかにしたものである。[共著論文概要]同時性判断と時間順序判断に関する神経科学系の論文であり、身体運動を担う脳領域が順序判断に関与している可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記した二つの研究課題に関し、科学研究費申請の時点では、著書一冊・論文三篇(研究代表者の単著・筆頭論文のみの本数)の作成を平成28-29年度中の目標として掲げた。平成28年度終了の時点で、著書刊行については上記の目標を超え、単著の著書二冊を刊行した。哲学分野の研究者にとって、著書刊行はとりわけ重要な成果と見なせる(複数の新聞書評でも高い評価を頂いた)。論文については共著論文(非筆頭論文)一篇の発表に留まるが、論文が掲載された学会誌は国際的に定評のあるものであり、質の評価の観点からも満足のいく結果と言える。 そのほか、平成28年度中には各種研究会や新学術領域・領域会議などにおいて、幅広い分野の研究者に向けて研究成果を発表することができ、研究交流の上で、極めて有益であった。 以上のことから、平成28年度における研究の達成度は十分なものであり、平成29年度は余裕をもって残りの課題に取り組むことができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究成果をふまえ、平成29年度は〈課題a:時間分岐的な可能性表象の分析〉と〈課題b:分岐表象における価値付与の分析〉のそれぞれに関し、論文各一篇以上の作成に従事する(いずれも単著を予定)。ただし、学術誌への掲載論文という形態にこだわらず、共著の専門書にその一章として収めることも視野に入れている(現在、複数の研究者から独立に、そうした専門書執筆の依頼を受けている)。学術誌と専門書のいずれに発表をする場合でも、先行文献の綿密な精査は必須であるが、課題aについてはそれが終了しているため平成29年度前半から執筆を行なう。他方、課題bについては平成29年度前半に文献精査を行ない、後半にて集中的に執筆に従事する。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Dissociating the neural correlates of tactile temporal order and simultaneity judgements2016
Author(s)
Miyazaki, M., Kadota, H., Matsuzaki, K. S., Takeuchi, S., Sekiguchi, H., Aoyama, T. & Kochiyama, T.
-
Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-