2017 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造変化が引き起こすがん化メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
16H01577
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前原 一満 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (90726431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クロマチン構造 / 癌 / エピジェネティクス / 生体生命情報学 / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞のがん化の過程では、ゲノム上に存在する2-3万もの遺伝子から特定遺伝子の選択的な発現が失われ、無秩序な発現形式に陥る。そのため、遺伝子発現調整システムの破綻の本質的な理解のためには、ヒストンバリアントの選択、そしてヒストン修飾からクロマチン高次構造に至る情報を全ゲノムレベルで明らかにしていく必要がある。そのなか我々は2015年に、コンピュータを用いたヒストンバリアントの探索手法を開発し、マウスおよびヒトに存在する未知のヒストンH3様のバリアント遺伝子を多数報告した。そこで本研究では、これらヒストンバリアントを軸にしたクロマチン変動機構の全ゲノムレベルでの解析によって、発がんにおけるヒストンバリアントの機能破綻の解明を目指している。
本年度は、マウスにおける新規H3バリアントのひとつであるH3mm7が、骨格筋組織の正常な再生に必要であることを示し、論文報告を行った。解析結果から、H3mm7を含むヌクレオソームは、弛緩したクロマチン構造を形成しやすいことが示された。また、H3mm7遺伝子を欠失した細胞のトランスクリプトーム解析から、骨格筋分化の過程に伴って活性化される遺伝子発現量の微調整(レート変化)が引き起こされることが分かった。すなわち、遺伝子発現調整システムの一端が、クロマチンにおける精妙なヒストン組成の変化によって実現されることを意味している。一方で、ヒト固有のバリアントと考えられるH3.6, H3.7, H3.8については、これらを含むヌクレオソーム構造の安定性を評価し、ChIP-seqデータの解析によってゲノム上の特徴的な局在のパターンを明らかとし、共同研究の成果として論文報告を行った。さらに、幹細胞など組織における少数の細胞群のエピゲノム情報を取得するために当研究の過程で新たに創出された解析技術ChILTについては、現在論文を投稿中である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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