2016 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性癌細胞の多様性に対応する至適分子標的薬選定プロセスの体系化
Publicly Offered Research
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
16H01578
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
西塚 哲 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50453311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗癌剤耐性 / 分子標的 / 再発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行胃癌の治療後再発は、肉眼的に癌を確認できない状態で化学療法を行ったのちに見られることから、我々は抗癌剤存在下で増殖可能な癌細胞を再発の起点と考え、その最小単位(抗癌剤寛容性コロニー、DTC)を対象とした研究を行った。また、DTCを形成するために必要な抗癌剤反応性シグナル伝達経路を同定するため、タンパクの時系列データの集積を行っている。 再発胃癌の治療に用いられるシスプラチン(CIS)存在でDTCを採取し、そのプロファイリングおよび特異的抑制効果のある化合物のスクリーニングを行ったところ、CIS存在下で出現するDTCは、キノコ毒に含まれRNA polymerase II阻害活性を持つα-Amanitinにより転写複合体を形成するTAF15を標的として効果的に抑制され、その肝・腎毒性はCIS同時投与により予防できる可能性も示唆された(Kume et al, Sci Rep, 2016)。さらに、胃癌術後補助化学療法での抗腫瘍活性物質である5-FU抵抗細胞株を用いた実験では、5-FU投与により、PI3Kのリン酸化が促進された細胞亜集団がその抵抗機序の中心であることを明らかにした。この結果から5-FUとPI3Kリン酸化阻害剤GDC-0941を同時投与すると、マウスを用いたヒト胃癌細胞の異種同所同組織再発モデルに対して効率的に再発を抑制することができた(Ishida et al, Sci Rep, in press)。 抗癌剤投与後タンパク時系列データ解析では、現在まで細胞(8種類)×薬剤(4種類)×濃度(3段階)×時系列(5点)×反復実験(4回)=1,920サンプルを回収した。今後これらのサンプルを逆相タンパクアレイ(RPPA)に集積し、300種類以上の抗体を含むライブラリーから免疫染色を行う予定である。画像解析および統計解析についても概ねシミュレーションは完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究から立案されたDTC解析による癌再発機構の解明を目指す過程で、技術開発を中心とした胃癌再発に重要な分子同定プロセスの体系化の可能性が示された。現在まで、胃癌の再発を想定した実験を行っているが、いったん治療を終了した癌患者の再発機序には生物学的な共通点も多いはずである。また、再発治療は標準的治療完了後のものを対象とすべきであり、今回はシスプラチンに対してTAF15と5-FUに対してPI3Kという最も使用頻度の高い抗癌剤使用後の分子標的を同定した。これらの研究に関連した特許を計4件出願中である(年度内申請はなし)。
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Strategy for Future Research Activity |
消化器由来の固形癌の多くは、シスプラチンや5-FUなどの細胞傷害性抗癌剤を用いた、いわゆる標準治療で治療されることが多い。一方、再発癌は標準治療への反応性は乏しいことが多く、分子標的薬や免疫療法などの積極的適応となっていくと思われる。したがって、数ある分子標的薬が投与対象となることが想定されるが、標準治療後や抗癌剤投与により誘導された分子経路を標的とする投与根拠が必要である。本研究では、初年度では抗癌剤投与により出現したDTCを対象とした分子プロファイリングおよび再発抑制効果のある化合物を、シスプラチンに対してのα-Amanitinおよび5-FUに対してのGDC-0941、と2種類同定した。次年度はどのような抗癌剤によってどのような分子経路が誘導されるか、抗癌剤間および細胞間の共通点に着目し、RPPAによる抗癌剤反応性タンパクのモニタリングとインフォマティックス技術を用いた解析により効率的な分子標的薬同定に繋げることが可能か検証する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Inhibition of PI3K suppresses propagation of drug-tolerant cancer cell subpopulations enriched by 5-fluorouracil2017
Author(s)
Ishida K, Ito C, Ohmori Y, Kume K, Sato KA, Koizumi Y, Konta A, Iwaya T, Nukatsuka M, Kobunai T, Takechi T, Nishizuka SS
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Journal Title
Sci Rep
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] α-Amanitin Restrains Cancer Relapse from Drug-Tolerant Cell Subpopulations via TAF152016
Author(s)
Kume K, Ikeda M, Miura S, Ito K, Sato KA, Ohmori Y, Endo F, Katagiri H, Ishida K, Ito C, Iwaya T, Nishizuka SS
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Journal Title
Sci Rep
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Inhibition of PI3K suppresses propagation of drug-tolerant gastric cancer cell subpopulations enriched by 5-FU2016
Author(s)
Nishizuka SS, Ishida K, Ito C, Ohmori Y, Kume K, Sato KA, Koizumi Y, Konta A, Nukatsuka M, Kobunai T, Iwaya T, Takechi T
Organizer
68th Naito Conference
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2016-07-05 – 2016-07-08
Int'l Joint Research
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[Presentation] Inhibition of phosphatidylinositol 3-kinase suppresses propagation of drug-tolerant cancer cell subpopulations enriched by 5-fluorouracil2016
Author(s)
Nishizuka SS, Ishida K, Ito C, Ohmori Y, Kume K, Sato KA, Koizumi Y, Konta A, Nukatsuka M, Kobunai T, Iwaya T, Takechi T
Organizer
American Association for Cancer Research
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
2016-04-16 – 2016-04-20
Int'l Joint Research
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