2017 Fiscal Year Annual Research Report
親潮・黒潮およびその源流域における鉄輸送への有機リガンドの寄与の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Ocean Mixing Processes: Impact on Biogeochemistry, Climate and Ecosystem |
Project/Area Number |
16H01592
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 能子 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 助教 (40722492)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 鉄 / 有機リガンド / 北西太平洋 / ボルタンメトリー / 鉄循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶存鉄の分布に関して、北太平洋亜寒帯域中深層では西部の方が東部に比べその濃度が高くなることが示されているが、海洋の溶存鉄分布の制御要因として考えられている有機リガンドについてはその鉛直分布や東西での違いは不明である。本公募研究では、学術研究船白鳳丸による海洋観測に参加して得た試料を用いて、西部北太平洋亜寒帯循環域、中央太平洋域、アラスカ循環域を含む北太平洋亜寒帯域広域からサンプルを得て競合配位子平衡-吸着カソーディックストリッピングボルタンメトリー(CLE-ACSV)法を用いて鉄の有機リガンド分布を調べた。 北太平洋亜寒帯における有機リガンドの条件安定度定数LogK'は10.1-12.3と、これまで海洋でCLE-ACSV法により報告されている天然有機リガンドの既報値の範囲内であり、測点間、深度で値に差異は認められなかった。また、濃度に関しては、全ての試料で溶存鉄濃度を1 nM以上上回る濃度で存在しており、その結果海水中の溶存鉄の99%以上は現場に存在する天然有機リガンドと錯形成した有機錯体鉄として存在していたと見積もられた。一方、濃度に関し、表層ではいずれの測点でも2 nM程度の有機リガンドが存在し、東西で差異が見られなかったのに対し、下部の北太平洋中層水では、西部では中央部や東部では見られなかった極めて高濃度の有機リガンドの存在が明らかとなった。本研究により、これまで不明瞭であった北太平洋亜寒帯域の西部、中央部、東部の有機リガンドの鉛直分布の相違が明らかとなった。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] Distributions of trace metals (Mn, Fe, Ni, Zn and Cd) in the western Arctic Ocean in late summer 20122018
Author(s)
Kondo, Y., Obata, H., Hioki, N., Ooki, A., Nishino, S., Kikuchi, T., Kuma, K.
Organizer
Fifth International Symposium on Arctic Research
Int'l Joint Research
-
-