2016 Fiscal Year Annual Research Report
腹側被蓋核の振動現象を大脳皮質-大脳基底核-視床の運動性回路との関係から探る
Publicly Offered Research
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
16H01622
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
苅部 冬紀 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (60312279)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 脚橋被葢核 / 黒質緻密部 / 大脳皮質 / 抗体染色 / ホールセル記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、被蓋核の内でも脚橋被葢核(Peduncle pontine nucleus)について詳細な細胞構成とその入出力関係を明らかにし、それを元に脚橋被葢核における振動現象と皮質・大脳基底核における振動現象のかかわりを明らかにすることである。 本年度は脚橋被葢核の細胞構成について、免疫組織化学により細胞タイプを同定し、それに基づいて大脳皮質一次・二次運動野からの入力に差異が見られるかどうかを検討した。 また、脚橋被蓋核は黒質緻密部と相互に連絡があることが知られており、ドーパミン細胞によってその活動が制御される可能性がある。そこで、黒質緻密部からの入力または緻密部への出力と、皮質入力の多寡との関係を、形態学的に観察した。これらと合わせ、黒質緻密部ドーパミン細胞の活動調節との関連を調べる必要があると考えたため、まず黒質緻密部ドーパミン細胞が受ける抑制性入力について検討した。 この過程で、従来明らかでなかった、淡蒼球外節のパルブアルブミン陽性細胞が黒質緻密部の特定の領域に強い抑制を掛けていることを見出した。現在、この細胞群と脚橋被葢核の関係について研究中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画の内、1A)腹側被蓋核前肢領域・後肢領域細胞の細胞種と投射先を明らかにする。1B)腹側被蓋核の各細胞種について、その電気生理学的特性と自発的振動をスライスパッチ記録で観察するについてはほぼ予定通り遂行している。ただし、遺伝子組換マウスの導入と新規のウイルスベクターの導入に時間がかかったため、若干の遅れがある。 2腹側被蓋野神経細胞の投射先と細胞種・振動活動の関係を明らかにする 3.主に視床下核と淡蒼球内節からの腹側被蓋核への投射について、複数のウイルストレーサーを用いて明らかにする点については予定通り逆行性標識とチャネルロドプシンによる光刺激法を組み合わせた実験を実施できるようになった。ただし、これらの標識には日数がかかるため、日齢の進んだ動物からスライス標本を作る必要があった。脚橋被蓋核は軸策の束が多数通過しているため、状態の良い標本を得るために、スライスの作成方法を検討しビブラトームの構成を替える必要が生じたため、条件設定にやや時間を費やした。そのため、全体的にやや進捗が遅れているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに、脚橋被葢核の細胞タイプ同定とそれと関連する皮質入力について実験を継続する。また、ホールセル記録による振動現象の解析と、大脳皮質入力および黒質緻密部入力がそれに与える影響を調べていく。実験の進捗により、当初予定していた生体からのユニット記録については規模を縮小する可能性があるが、その場合でもスライス記録のデータ解析により、振動現象についての細胞タイプおよび皮質入力依存性の有無を検討できると考えている。
|
Research Products
(7 results)