2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of model mice for non-invasive monitoring of physiological effects in extreme environments
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
16H01630
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三輪 佳宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70263845)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光 / イメージング / 非侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
テーマ1)免疫力モニターマウス リンパ節や炎症誘導時のリンパ球集積を非侵襲イメージングできるマウスを樹立し、免疫力の変化を安定に長期モニタリングする実験系を確立することを目指した。今年度は、樹立済のiRFP-floxマウスに、リンパ球のみでcreを発現するLck-creおよびmb1-creマウスを交配し、リンパ球のみを非侵襲イメージングできるマウスの樹立を進めた。その結果、図に示すように、組換え前は全ての血球でHaloTagタンパク質が発現しTMRによってのみ染色されるのに対して、mb1-creおよびLck-creとの交配を進めたマウスでは、特定の血球のみが近赤外の蛍光を示すと同時にHaloTagタンパク質の発現を消失していた。またPCRによるゲノムの解析からも、loxPサイトにおいて正しく組換えがおこり、HaloTagが欠失してiRFPがプロモーターに連結し発現が起こっていることが確認でき、予定のマウスが樹立できていることが確認できた。続いて、血球の集積による非侵襲イメージングの可能性を確認するため、生後5日目のHalo-iRFP/Lck-creマウスを観察したところ、胸腺の非侵襲イメージングが可能であることが確認できた。 テーマ2)神経機能モニターマウス 神経活動を的確にとらえるには、特定の時期に限局して事象をイメージングする「時間ウインドウ」設定技術が必要である。そこで申請者が特許取得済みの「抗生物質によるタンパク質分解制御技術」を応用し、ドキシサイクリン投与中に活動した神経だけを自在にイメージングする技術を確立することをめざした。 dox投与の有無によって、より蛍光強度の変動が大きく、かつ投与時により早く蛍光が蓄積する時間分解能の高いプローブを開発した。 テーマ3)心筋モニターマウス 本年度は、心筋型アクチンからcreを発現するBACベクターを樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫力モニターマウスに関しては、当初はマウスの樹立だけを目指していたが、それ以上に研究が進行した。その結果、どのようなイメージングが可能になるのか、確証的なデータまで得ることができたため、予定以上の成果を得ることができ、今後に向けた展望もより明確に想定することが可能になった。神経機能モニターマウスについても、2つのテーマともに、当初の予定通りに進行することができた。心筋モニターマウスについてはやや遅れ気味であるが、このまま自分たちでの樹立を目指すよりも、既存のマウスを導入したほうが今後の展開が早いことが予想されたため、次年度より方針を変更して、スピードアップを目指すことができる。 以上の状況を総合的に判断すれば、当初の予定よりやや早めに進行しており、概ね順調であると判定できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3テーマにそって、非侵襲に体内環境をモニターできるマウスの開発を進め、極限状態およびそこからの回復過程の解析を実現する。 テーマ1)免疫力モニターマウス:今年度、免疫応答に基づくリンパ節の腫脹や、炎症部位へのリンパ球の浸潤・集積を非侵襲イメージングで解析するために、樹立済のiRFP-floxマウスをmb1-creマウスと交配したB細胞モニターマウスの樹立に成功した。また、このマウスを用いて炎症イメージングが可能である確証もえた。そこで次年度は、このB細胞モニターマウスがどのような免疫反応の検出に利用できるか、様々な実験手法の確立を試みる。これと並行して、樹立済のiRFP-floxマウスとLCK-creマウスの交配を進めることで、T細胞モニターマウスも樹立する。B細胞モニターマウスとは異なる炎症反応の検出が可能だと期待されるので、どのような反応を検出できるか、広く解析を進める。これらの結果を踏まえて、ストレスによる免疫力低下の指標とするのにもっとも適した実験手法を確定させる。具体的に極限ストレスを与えた場合の免疫力変化をモニターできるか、テストを実施する。 テーマ2)神経機能モニターマウス:今年度、テーマ2-1として高度な分解制御プローブの開発を進め、時間分解能の高いプローブの開発に成功しているのと同時に、神経活動の変化をモニターするのに適した発現系の検討に着手しているので、次年度はさらにその解析を進め、最適なプロモーターを確定させる。このプロモーターより分解制御プローブを発現するマウスの樹立を進める。 テーマ3)心筋モニターマウス:心臓の状態をモニターできるマウスの樹立を急ぐためにやや方針を変更し、既存のマウスを導入して、樹立済みのiRFP-floxマウスの交配を進め、心筋のみから近赤外蛍光が検出されるマウスの樹立を進める。
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