2016 Fiscal Year Annual Research Report
重力に抗した3D 臓器形成機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | "LIVING IN SPACE" - Integral Understanding of life-regulation mechanism from "SPACE" |
Project/Area Number |
16H01643
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清木 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226619)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 重力 / オルガノイド / 立体臓器 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトES/iPS細胞から、ヒト臓器に似た3次元培養組織 (オルガノイド)を作成することが可能になって来ている (Takebe et al., 2015). しかし、再生医療に用いるためにはオルガノイドのサイズを大きくする必要がある。私たちはYAP遺伝子が複雑な立体臓器を構築することを見出したが、YAPを活性化すると正常な臓器のサイズを数倍に拡大する。YAPのこのユニークな機能を活用して、重力でYAPを活性化させることによりオルガノイドを拡大できる可能性がある。そこで、重力が臓器の大きさと立体構築の制御を行うYAPシグナルのダイナミクスに与える影響を、メダカ、ヒト細胞で明らかにするのが本研究の目的である。そこで、1.重力変化に応答し立体臓器を構築するYAP分子ネットワークの同定, 2.重力変化に対するYAPシグナル応答のシミュレーションを行うための数理モデルの構築を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 重力変化に応答し立体臓器を構築するYAP分子ネットワークの同定 重力変化を用いて立体臓器の構築・拡大するためのシミュレーションを行うためには、重力に応答するYAPシグナル経路の解明が必須である。私たちが見出したYAPの標的遺伝子ARHGAP18は、その一端を担うと考えられる。そのため、ARHGAP18に結合する分子群を同定するために、BioID法という新しい方法と質量分析を用いて解析を行っている。BioID法は、従来の免疫沈降法などでは得られなかった分子群を同定できると考えられる。
2. 重力変化に対するYAPシグナル応答のシミュレーションを行うための数理モデルの構築 重力変化へのYAPシグナル応答のシュミレーションを行うために、これまでに明らかになっている分子群の相互作用を基に、CellDesignerというソフトを用いて数理モデルを構築している 山口大学大学院医学系研究科 浅井義之 先生との共同研究)。本数理モデルのさまざまなパラメーターを設定するために、主な分子を定量的に測定することが必要になる。現在のところ、Western blotting法により測定を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、① 2の解析によって同定される分子群を3の数理モデルに組み込み、② これらの分子群のうち主要な分子について、正常重力、擬似微少重力における定量的な解析を行う。これにより、数理モデルのパラメーターを設定することで、より正確にYAPシグナルの重力応答を予測できる数理モデルを構築して行く。
|