2017 Fiscal Year Annual Research Report
ペルー共和国出土木材の年輪同位体分析に基づく14C編年の再構築と古環境の復元
Publicly Offered Research
Project Area | Comparative Studies of Ancient American Civilizations |
Project/Area Number |
17H05111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 貴之 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (30748900)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射性炭素 / 樹木年輪 / 同位体分析 / 南米 / 古環境復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアンデス考古学における高精度古環境復元と編年再構築を大目的とし,(A)樹木年輪の安定同位体 比分析を用いた高精度環境復元をナスカ地域を中心に主要文化層に対して広く展開し,(B)アンデス考古学でこれまでに分析された放射性炭素年代をもとに高確度考古学編年を再構築する,二つの研究課題を並行して推進するものである。 研究課題(A)では,ナスカ地域から出土する紀元前1千年期後半から西暦1500年ごろまでの古材を対象に年 輪気候学的アプローチを用いて高時間解像度の古環境情報を抽出し,研究課題(B)では放射性炭素年代データベースを構築し年代データのベイズ推定から高確度な時空間情報を伴う考古学編年の整備を目的に研究を進めてきた。二つの研究課題で得られる高精度な環境変動履歴と高確度文化編年を対比,統合することで,ナスカ周辺ペルー南海岸部における社会や文化と環境との関連について具体的に検証し,実証的モデルの提示を目指している。 また一方で,本研究を推進する上で障害となっていた分析スループットの改善と,通常法では分析が難しかった微量試料に対し,既存の前処理システムや分析装置の改造あるいは製作を通して,自動前処理システムの構築や微量分析法の確立に成功した。これら新しい技術により,分析におけるスループットが飛躍的に改善したほか,これまで分析が難しかった微細な構造をもつ樹木年輪試料においても分析を進めることが可能となり,当初計画を実現するための環境が大幅に拡充された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は,新規データの生産に向け同位体分析を展開した。また,効率的な安定同位体比測定および放射性炭素年代測定を実現するために,既存の前処理システムおよび分析装置の改造,製作を実施し,スループットが飛躍的に向上したほか,非常に細かい年輪試料においても分析を可能とする新しい微量測定法も確立した。ただし,平成29年度後半期より酸素同位体比測定の前処理を行う熱分解型元素分析計の不調により,安定同位体比測定の進捗にはやや遅れが見られる。 本研究の推進にあたっては,研究の目的であげた二つの研究課題を並行して推進し,研究課題(A)においては古材年輪中の同位体比分析を,研究課題(B)ではペルー共和国における放射性炭素年代データベースの構築を行った。これらは,平成30年度上半期までをめどに適宜研究を継続し,後半期で環境データと考古学情報の統合を行う予定である。 研究課題 (A)では,ナスカに所在するカワチ遺跡やベンティーヤ遺跡などの考古遺跡で出土する古材を中心に分析を実施した。樹木年輪の分析では,デジタルマイクロスコープによる高解像度画像データをもとに年輪組織観察を実施し,個体の年輪構造が確認できたものから炭素・酸素安定同位体比測定を実施した。分析データは,現生樹木年輪から得 られた基礎データとの比較や環境応答解析などで検証され,古環境情報を進めている。 研究課題(B)では,ぺルー共和国の考古遺跡を対象とした放射性炭素年代を論文や報告書から収集し、データベースの構築を進めてきた。これまでに,ワルシャワ大学が公開する放射性炭素年代データベース Andes14C をもとに年代データの整理および精査を行い,現在は本研究では新規データの収集を進めている。年代データは分析方法や試料物質などの情報から信頼度を精査し、データ公開の準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,これまでに分析により蓄積されたデータの統括を中心に研究を展開する。具体的には,研究課題(A)において進 められた古材年輪中の同位体比分析から古環境情報の抽出を行い,研究課題(B)ではペルー共和国における放射性炭素年代デー タベースから得られる時間情報の精査を進め,編年構築のための年代解析を行う。また,研究成果の統括に際し,分析データが不足している部分に対し,適宜データ拡充を行う計画である。 研究課題 (A)においては,ナスカに所在するカワチ遺跡やベンティーヤ遺跡などの考古遺跡で出土する古材を中心に分析を進めてきた。樹木年輪の分析では,デジタルマイクロスコープによる高解像度画像データをもとに年輪組織観察を実施し,個体 の年輪構造が確認できたものから炭素・酸素安定同位体比測定を進めている。現生樹木年輪から得 られた基礎データとの比較や環境応答解析などで検証され,古環境情報を抽出し,その研究成果を国際誌に報告する予定である。 研究課題(B)においては,ぺルー共和国の考古遺跡を対象とした放射性炭素年代を論文や報告書から収集し、データベースの構 築を進めてきた。本年度においても新規データの拡充を進めつつ,データ収集が完了した遺跡あるいは地域を対象に放射性炭素年 代のベイズ推定を用いて蓋然性の高い編年モデルの導出を推進する。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] The compact AMS system at the University Museum, the University of Tokyo2017
Author(s)
Hiromasa Ozaki, Takayuki Omori, Yu Itahashi, Kohei Yamazaki, Ayao Kanesawa, Katsui Uehara, Ayako Yamaguchi, Akiko Uchida, Kunio Yoshida, Minoru Yoneda
Organizer
The fourteenth International AMS conference
Int'l Joint Research
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