2018 Fiscal Year Annual Research Report
民族誌データに基づく人類集団動態モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
17H05125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 仁史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90422071)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民族誌 / 人類集団の動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究ではB01班の一員として、班内外での連携を心がけつつ研究を進めた結果、以下に示す5点の成果を得ることができた。 第1に、動態モデル仮説を二つ提示したこと。まず組合せ能力(combining ability)として、上部旧石器時代に組合せ型の道具製作を開始した現生人類が、時をほぼ同じくして高度な象徴化能力を発展させた可能性を示した。もう一つはヨソ者効果(stranger impact)である。文化の変容にかかわる先行研究(Vierkandt 1908, Bargatzky 1978)にもとづきながら、集団内に入ってきた外部者の行動が、その集団の文化全体に変容を引きおこすプロセスをモデル的に示した。 第2に、文化動態の具体例としてストーンボイリング(stone boiling)という料理技法をとりあげ、民族誌からの事例を多数紹介しつつ、理論化を試みたこと。それによれば、鉄器により土器が駆逐されるプロセスは一様ではなく、生態環境や道具の使途、さらには生業のあり方によっても文化変容の様相は異なることが示された。この研究はA02班との共同により進められた。 第3としては、狩猟採集民社会の多様性を指摘した。とりわけ非定住と定住の狩猟採集文化には大きな違いが見られることと、従来提唱されてきた〈収穫民〉(Lips 1928)や地産物獲得民(Schebesta 1934)といった概念も、この関連で再考すべきことを論じた。 4点目は、〈驚異〉・〈怪異〉をめぐる人類の象徴化能力への着目である。これはとりわけ、B01班内でのやり取りにおいて生まれた視点である。 5点目が、宗教・神話の進化という視点を持つに至ったことである。人類集団間の動態を見るにあたっては、それぞれの集団が有していた象徴化作用、とりわけ宗教や神話に代表される世界観のあり方がきわめて重要な役割を果たしていたと考えるに至った。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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