2018 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける石英製旧石器の変遷と石器製作・使用行動の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
17H05129
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上峯 篤史 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (70609536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国旧石器 / 石英製石器 / 後期更新世 / 石材獲得活動 / 石材利用行動 / 旧石器考古学 / 動物骨 / 新人の定着 |
Outline of Annual Research Achievements |
約10万~5万年前と推定された遺跡を選び、年代決定や出土遺物・発掘記録の詳細観察に取り組んだ。ウランムルン遺跡(オルドス市)や徐家城遺跡(甘粛省)では、典型的な鋸歯縁石器群が見いだせた。西白馬営遺跡(河北省)でも新規の放射性炭素年代測定結果が得られ、既往の年代観を一新する成果が得られた。これらがヨーロッパの中期旧石器文化(鋸歯縁ムスチエ文化)と類似し、石器製作技術や材料の選択傾向にも共通点が見られることを、フランス古人類学研究所所蔵の編年基準資料の比較から確認している。また上述の西白馬営遺跡出土遺物の詳細観察も進行中で、新人定着直前の文化・行動を示すデータが蓄積されている。水簾洞遺跡(河北省)の調査では、新たに実施した放射性炭素年代測定によって、中国国内最古の新人化石と言われる田園洞に近い値が得られた。本事例は、新人定着直後の様相を示す、初の考古遺物の事例となった。水簾洞遺跡の遺物群は、中期旧石器的な鋸歯縁石器群に、新相の要素(石刃や磨製骨角器、遠隔地石材)が加わって成立しており、遺跡周辺の資源利用のあり方や、居住地への定着性においても、上述の中期旧石器文化と異なっている。 中国は本領域が注目する「新人拡散と文化変化が一致しない地域」の代表的存在であるが、公表されているデータの量・質が乏しく、個々の遺跡の実態をとらえにくい。これに対し本公募研究では、中国の研究機関と共同研究協定を締結し、現地の研究者と密な連携を取りながら、キーになる遺跡の発掘記録の精査、年代測定の実施、遺物群の詳細観察に努めてきた。応募者らが蓄積してきたデータは、計画研究A01によるアジア旧石器情報データベース(PaleoAsia DB)作成、計画研究A02による人類行動様式の研究に、中国旧石器遺跡の信頼できるデータを提示するという独自の貢献ができたと考える。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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