2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Palaeolithic Aminal Bones by Protein Archaeology
Publicly Offered Research
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
17H05130
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中沢 隆 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (30175492)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質科学 / 質量分析学 / コラーゲン / 新石器時代 / 動物考古学 / アミノ酸配列解析 / 翻訳後修飾 / 動物種の同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、旧石器時代から新石器時代にかけての新・旧人類の交代劇や狩猟、牧畜、農耕といった人類の動物利用に関する文化史を解明する上で必要な、動物種の正確な判定によって本領域の研究に貢献することが求められている。旧石器時代の動物骨ではDNAが分解によって失われていることが多く、動物種の判定にはタンパク質として残存する可能性が最も高いコラーゲンのアミノ酸配列解析が有効である。骨に含まれるI型コラーゲンが経年劣化を受けにくい最大の理由は、2本のα-1鎖と1本のα-2鎖が絡まりあった強固な3重鎖構造にあると考えられる。それにもかかわらず、平成29年度に行なったヨルダンのTor Hamar遺跡から出土した約5万年前の動物骨からはコラーゲンが全く検出されなかった。本年度は、同じTor Hamar遺跡の3万から3万5千年前の動物の歯についてコラーゲンの抽出と動物種の判定を試み、従来の約6倍に試料の量を増やし、質量分析もMALDI法に加えてnanoLC/ESI-MS/MS法を用いることで15の資料中4つの検体からコラーゲン由来のペプチドを得ることができた。そのうち資料JQ-T15の歯からヤギに特異的なペプチドを得たため、この歯については動物種がほぼ確定した。この分析を行うにあたって、質量分析によるアミノ酸配列解析において残基質量(113 Da)がロイシンとイソロイシンと等しいヒドロキシプロリン(Hyp)を判別するために、Hypやセリン(Ser)などのOH基を無水酢酸ーギ酸混合液でホルミル化し、質量を28 Da(CO分)増加させる方法を開発した。この方法は、最初に試みたアゼルバイジャンのギョイテペ遺跡から発掘された8千年前のヒツジとヤギの骨で有効であることが明らかとなり、3万から3万5千年前のコラーゲンにも有効であったことから、今後より年代を遡る考古遺物中の動物骨(歯)への適用が期待できる。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)