2017 Fiscal Year Annual Research Report
A feasibility study on genome analysis of ancient humans in the Lake Baikal area
Publicly Offered Research
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
17H05131
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木村 亮介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00453712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 古代DNA / ゲノム / シベリア / 集団 / 人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代人および2万4千年前のマリタ古人骨のゲノムデータなどからも、現生人類の東アジアへの拡散における北周りルートの存在は確認されるが、その詳細については未だ明らかではない。北周りルートを通る移動の波を含め、東アジア人集団形成過程に関する疑問に答えるためには、既存のデータだけでは不十分であり、さらなる古人骨ゲノムデータの収集が必要不可欠である。本研究では、ロシアの共同研究者を通じて、シベリアの古人骨試料の三次元形態を計測した上で、骨片の採取を行い、全ゲノム解析に耐えうるDNAが抽出できるかの可能性調査を行う。さらに、mtDNAや核ゲノムの特定の遺伝子領域を用いて、試料となる個体の系統的位置や表現型を推定する。そして、最も状態の良い試料を選別して、全ゲノム解析を試み、集団遺伝学的解析により過去のヒトの移動および集団形成過程について明らかにする。新学術領域研究「パレオアジア」の目的は、アジア大陸部でそれ以前の石器文化を担った原人や旧人が如何にして絶滅し、現生人類に取って代わったのかを実証的に明らかにすることであり、本研究ではシベリアの古人骨を用いてゲノム解析をすることで、当該領域に貢献する。さらなる古人骨のゲノム解析によって、「交替劇」に関わる現生人類の拡散ルートを解明することが可能となる他、デニソワ人を含む旧人や原人と現生人類との混血が検出される可能性も秘めている。また、本研究は、東アジアにおける所謂“モンゴロイド”的形質の進化の謎を解き明かす鍵を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年7月にロシア・ウランウデにあるThe Institute for Mongolian, Buddhist and Tibetan Studies (IMBTS), the Siberian Branch (SB) of the Russian Academy of Science (RAS)を訪れ、新石器時代~中世にかけての29個体の古人骨試料を採取した。このうち、14個体からは歯石試料の採取も行なうことができた。また、頭蓋骨全体がよく保存されている個体については、三次元スキャナーを用いて三次元デジタル画像を撮像した。 29個体の古人骨試料のうち、15個体からDNA抽出を行なった。抽出DNAのピークサイズは、100kb以下のものがほとんどであり、DNAの断片化が進んでいることが示唆された。次に、抽出DNA濃度の比較的高い検体を10個選出し、DNAライブラリーを作成した上で、次世代シーケンサーMiSeqによるシーケンシングを行なった。シーケンシングの結果、ヒトゲノム配列にマップされる率を調べると、新石器時代の5試料では0.48~6.86%、未確定だがおそらく青銅器時代と目される3試料では2.31~24.90%、中世の2試料では14.92~62.01%であった。これらの値は、高いほどバクテリア配列などのコンタミネーションが少なく、ヒト由来配列を効率よく読むことができることを示している。現在、これらの試料について放射性炭素年代測定も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、試料からのDNA抽出およびライブラリー作成を進めていく。今後、ヒトゲノム配列へのマップ率の高かった検体について、さらに深くシーケンシングすること、あるいは、エクソンキャプチャーなどによりヒト配列を濃縮してシーケンシングすることを検討している。
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[Journal Article] The fine-scale genetic structure and evolution of the Japanese population2017
Author(s)
Takeuchi Fumihiko、Katsuya Tomohiro、Kimura Ryosuke、Nabika Toru、Isomura Minoru、Ohkubo Takayoshi、Tabara Yasuharu、Yamamoto Ken、Yokota Mitsuhiro、Liu Xuanyao、Saw Woei-Yuh、Mamatyusupu Dolikun、Yang Wenjun、Xu Shuhua、Teo Yik-Ying、Kato Norihiro、Japanese Genome Variation Consortium
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 12
Pages: e0185487
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 古代ゲノム解析から推定される北アジア人の人類集団史2017
Author(s)
佐藤丈寛, 安達登, 木村亮介, 米田穣, 太田博樹, 田嶋敦, 豊田敦, 松前ひろみ, 小金渕佳江, 清水健太郎, 埴原恒彦, ウェーバーアンジェイ, 加藤博文, 石田肇
Organizer
日本人類遺伝学会第62回大会
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