2017 Fiscal Year Annual Research Report
Developement of new devices by stochastic resonance in pi-system figuration combined with hydrogen dynamics
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 顕一郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00634982)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水素結合 / π電子 / 可視紫外分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、π造形システムにおいて、生体系を模倣した確率共鳴現象を利用することで、本来排除すべきであったノイズを有効活用し、次世代に向けた低エネルギー消費デバイスを実現することである。具体的には、水素ダイナミクスとπ電子が互いに強く結合した水素結合系π造形システムκ-D3(Cat-EDT-TTF)2において、180Kで実現する水素結合とπ電子が相関した相転移現象近傍において、外部刺激としてノイズを印加することで、非線形性を利用した伝達信号の増幅を観測・実証することを目的としている。 そのためにまず当該年度は、可視紫外域における反射分光測定を行い、180Kでの相転移前後における光学伝導度スペクトルを詳細に調べることで、水素結合とπ電子の連動による相転移現象において電子構造がどのように変化するかを詳細に調べた。その結果、ダイマーモット絶縁体状態を取る転移温度以上においては0.4eV程度に位置していたダイマー内励起が、相転移点を挟んで0.7eV程度に上昇することを明らかにした。この光学伝導度スペクトルの変化は、相転移に伴い電荷秩序化が生じ、その結果、四量体が形成され、系がバンド絶縁体へと変化したためと考えられる。つまり、π電子と水素ダイナミクスの結合によりモット絶縁体からバンド絶縁体への相転移が起きていることが本研究により明らかになった。今後は、π電子と水素ダイナミクスの結合による相転移現象を利用した確率共鳴現象の確立に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
π電子と水素ダイナミクスの結合による相転移現象を利用した確率共鳴現象の確立には、相転移前後でどのような電子構造の変化が生じているかを明らかにすることが重要である。当該年度は、可視紫外域における反射分光測定を行うことで、180Kでの相転移により、モット絶縁体からバンド絶縁体への相転移が起きていることを明らかにすることができた。今後は、π電子と水素ダイナミクスの結合による絶縁体-絶縁体転移を利用した確率共鳴現象の確立に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は確率共鳴現象の観測を行うために、κ-D3(Cat-EDT-TTF)2において、ノイズ印加・外場印加に対する非線形伝導特性の観測システムの立ち上げを行い、印加ノイズに対する伝達信号の変化、試料温度に対する応答の変化を解析し、確率共鳴における最適測定条件を確立する。さらに大型放射光施設SPring-8の赤外分光ビームラインを用いてノイズ印加状態における局所赤外分光を行い、確率共鳴的に振る舞う分子振動の同定を行う。軽水素体と重水素体の比較を行うことで、水素ダイナミクスがπ電子に及ぼす影響を赤外振動分光によりミクロな観点から検証する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Quantum-disordered state of magnetic and electric dipoles in an organic Mott system2017
Author(s)
M. Shimozawa*, K. Hashimoto*, A. Ueda, Y. Suzuki, K. Sugii, S. Yamada, Y. Imai, R. Kobayashi, K. Itoh, S. Iguchi, M. Naka, S. Ishihara, H. Mori, T. Sasaki, and M. Yamashita (*equal contribution)
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 1821-1-6
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Crystallization and vitrification of electrons in a glass-forming charge liquid2017
Author(s)
S. Sasaki*, K. Hashimoto*, R. Kobayashi, K. Itoh, S. Iguchi, Y. Nishio, Y. Ikemoto, T. Moriwaki, N. Yoneyama, M. Watanabe, A. Ueda, H. Mori, K. Kobayashi, R. Kumai, Y. Murakami, J. Muller, and T. Sasaki (*equal contribution)
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Journal Title
Science
Volume: 357
Pages: 1381-1385
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Crystallization and vitrification of strongly correlated electrons on a geometrically frustrated triangular lattice2018
Author(s)
Kenichiro Hashimoto , Satoru Sasaki , Ryota Kobayashi , Keisuke Itoh , Satoshi Iguchi , Yutaka Nishio , Yuka Ikemoto , Taro Moriwaki , Naoki Yoneyama , Masashi Watanabe , Akira Ueda , Hatsumi Mori , Kensuke Kobayashi , Reiji Kumai , Youichi Murakami , Jens Mueller , Takahiko Sasaki
Organizer
APS March Meeting 2018
Int'l Joint Research
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[Presentation] 重い電子系超伝導体URu2Si2における極低温磁場侵入長測定2017
Author(s)
竹中崇了, 繆逸杰, 弘中恭平, 水上雄太, 橋本顕一郎, Anna Bohmer, 芳賀芳範, 山本悦嗣, 松田達磨, 大貫惇睦, 松田祐司, 芝内孝禎
Organizer
日本物理学会2017年秋大会
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[Presentation] 有機電子型誘電体の顕微テラヘルツ波発生分光2017
Author(s)
藤原里菜, 村上泰樹, 伊藤弘毅, 川上洋平, 山本薫, 米山直樹, 小林亮太, 橋本顕一郎, 井口敏, 佐々木孝彦, 中村優斗, 岸田英夫, Martin Dressel, 岩井伸一郎
Organizer
日本物理学会2017年秋大会
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