2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子の特徴に基づく柔軟な曲面π共役分子の動的挙動
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05140
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
山村 正樹 富山県立大学, 工学部, 准教授 (40524426)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘテロ原子化合物 / おわん型分子 / キラリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
おわん構造やらせん構造など非平面構造をとるπ共役系化合物は特異な物性を示すことから、盛んに開発が行なわれている。本研究ではヘテロ原子を含む曲面分子として、中心にリン原子を、架橋部に3つの酸素または硫黄原子を有する非平面化合物の開発に取り組んで来た。 本年度は芳香族求核置換反応を繰り返すことで、リン原子の数や架橋元素を変えたユニークな形状のπ共役系化合物の合成に取り組んだ。芳香族フッ素化合物とソフトな求核剤であるリンのアニオンとの反応により、リン原子の数を1つないし2つ、架橋元素の数を2~4つ有する非平面化合物を合成した。 また、架橋元素に硫黄を含む化合物では、炭素-硫黄結合を切断することでらせん型分子を得ることができる。らせん型分子の両末端に蛍光部位としてカルバゾールを導入したところ、カルバゾールを置換位置により蛍光強度に劇的な違いが生じることを見出した。らせん型分子の蛍光挙動の詳細については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
芳香族求核置換反応による非平面分子を合成する反応条件が基質によっては進行しないことから、得られる化合物が限られる。特に、架橋元素を芳香族求核置換反応により導入する反応が進行しにくく、架橋することで分子に歪みが生じるため反応が起こりにくいものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成計画の手法では架橋元素の導入が困難であるため、架橋元素の数を減らして歪みを減らす、架橋元素として求核置換反応が進行しやすいソフトな元素を用いるといった方針をとる。これまでに合成した化合物については、発光などの光物性を中心に物性評価を行う。
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