2017 Fiscal Year Annual Research Report
Spherical Pi-Figuration Based on Functionalization of Sub-Nano Space
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 教授 (40314273)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パラジウム触媒 / ナフタレン / 縮環 / 内包フラーレン / 緩和時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラーレンC60の構造修飾法の1つとして遷移金属触媒を用いた反応が多く報告されている中で、位置選択的な反応は非常に限られている。我々は、パラジウム触媒存在下ハロゲン化アリールがC60上で5員環を介して環化する反応を見い出した。この反応はアルキルブロマイドの種類によらず50%程度の収率で進行することがわかった。また、1-ハロナフタレン中で1,4-ジアルキルC60誘導体を反応させたところ、HOMOの軌道係数が最も高い二重結合上で選択的にナフタレンが縮環することがわかった。同様の反応は開口C60誘導体およびその水分子内包体においても進行し、対応する付加体の構造は単結晶X線構造解析により明らかにされた。さらに、Pd触媒存在下でのC60におけるナフタレン縮環過程を理論計算により検証した結果、6員環遷移状態を経由する協奏的なメタル化-脱プロトン化過程が律速段階であることが示唆された。 一方、我々はC60骨格に窒素原子を1つ導入したアザフラーレンC59Nに水素および水分子を導入することに成功しており、内包された水分子とC59N+中間体との静電的な相互作用に基づき、反応性が水素内包体および空のC59Nに比べ、2倍程度向上することを見い出している。これまでの研究では,内包された小分子とフラーレン骨格との相互作用を明確に評価する方法は非常に限られていたが、我々は、内包された小分子の動的挙動に着目することで、フラーレン骨格との相互作用を評価する手法を考案した。すなわち、1H NMR緩和時間により、内包された小分子の動的挙動を評価する手法を用いて、H2O@C59Nでは窒素原子と内包された水分子との間の静電的相互作用に基づき、緩和が抑制されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開口フラーレンを大量合成することにより、水内包C60の大量合成に成功している。この化合物をさらに化学変換することによって、フラーレン骨格の一つの炭素原子が窒素で置換された水内包アザフラーレンH2O@C59Nの合成に成功している。また、遷移金属触媒を使用する新しい化学反応を見出すことにも成功しており、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき、新しい開口フラーレンを合成し、その内部へ小分子を挿入する研究を進める。
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Research Products
(8 results)