2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction and thermoelectric application of porous pi-electronic systems utilizing iodine bond
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 義明 京都大学, 理学研究科, 助教 (60402757)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 分子磁性 / 陽イオンラジカル塩 / ヨウ素結合 / 熱電特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨウ素結合を利用した多孔性π電子システムを構築し、それを熱電材料へ応用するため、平成29年度は以下の研究を行った。 (1)ヨウ素結合能を有する4,5-ethylenedioxy-4'-iodotetrathiafulvalene (EDO-TTF-I)からなる(EDO-TTF-I)2ClO4について、PF6、AsF6、SbF6、NO3、C3(CN)5塩と同様にEDO-TTF-I分子がβ'型分子配列をとること、室温付近ではダイマーモット絶縁体と考えられることを明らかにした。またClO4塩は、冷却すると190 Kで格子の2倍化を伴った相転移を示し、金属的挙動を示すこと、さらに95 K以下では、再び半導体的挙動を示すようになり、非磁性化することを明らかにした。新学術領域内で共同研究を実施し、赤外反射スペクトルを測定したところ、ダイマーモット絶縁体に特徴的なバンドが観測され、そのスペクトルの温度依存性は導電挙動を反映したものであった。また、5 Kにおいて放射光を用いたX線構造解析を実施したが、明確な超格子反射を確認することはできなかった。ClO4塩は半金属状態から絶縁化していると考えられ、今後、励起子絶縁体の可能性を検証する。 (2)従来の2,7-diiodo[1]benzothieno[3,2-b][1]benzothiophene(BTBT-I2)の合成法を見直し、文献を参考にして[1]benzothieno[3,2-b][1]benzothiophene(BTBT)を臭素により臭素化することにより2,7-dibromo[1]benzothieno[3,2-b][1]benzothiophene(BTBT-Br2)を得た。また、3,3'''-dihexyl-2,2':5',2'':5'',2'''-quaterthiopheneをNISでヨウ素化することにより、4,4'''-dihexyl-2,2'''-diiodo-5,2':5',2'':5'',5'''-quaterthiophene(DHex-I24T)を得た。さらに電解質として(TBA)PF6を含むTHF溶液中でDHex-I24Tの電解酸化を行ったところ、0.85 eV付近に吸収帯を有する粉末を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヨウ素結合能を有するEDO-TTF-Iからなる(EDO-TTF-I)2ClO4について、当初予定していなかった共同研究を新学術領域内で推進することができ、相転移機構の理解をさらに深めることができた。 物質開拓面では、従来のBTBT-I2の合成法の問題点を見出し、より簡便な合成法を確立しつつある。また、電解法、混合法等により、DHex-I24Tの電荷移動錯体の作製を進めており、粉末ではあるが試料が得られている。 微小、かつ脆い有機結晶試料の熱電特性評価のために、Lake shore社製Cernox 温度センサーを組み込んだ試料ホルダを作製したが、年度の途中で試料ホルダが破損し、修復作業を進めている。また、新学術領域外の熱電特性評価の専門家とも共同研究を開始し、有機結晶試料の熱電特性評価について見通しを立てることができた。 以上のように、熱電特性評価についてはやや遅れているが、当該分野の専門家と共同研究を開始することができ、測定上の困難を克服しつつあること、また、当初の計画になかった共同研究を新学術領域内で推進できたこと等を考慮すると、研究の目的達成に向けて着実に前進していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)相転移を示す(EDO-TTF-I)2ClO4については、室温付近から極低温までの広い温度範囲にわたる詳細な構造データが明らかになりつつある。赤外分光による結果やEDO-TTF-Iの他の錯体の結果を総合的に解析することにより、相転移機構を明らかにする。 (2)DHex-I24Tの電荷移動錯体の作製を進めるとともに、BTBT-I2や他のヨウ素導入分子の合成とその電荷移動錯体の作製を行う。得られた分子の中性状態やその電荷移動錯体の構造と物性を明らかにする。 (3)新学術領域内外で共同研究を展開することにより、微小、かつ脆い有機結晶の熱電特性評価技術を確立し、本研究で得られた物質の熱電特性を明らかにする。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Crystalline salts of metal phthalocyanine radical anions [M(Pc・3-)]・- (M = CuII, PbII, VIVO, SnIVCl2) with cryptand(Na+) cations: structure, optical and magnetic properties2017
Author(s)
D. V. Konarev, M. A. Faraonov, A. V. Kuzmin, S. S. Khasanov, Y. Nakano, S. I. Norko, M. S. Batov, A. Otsuka, H. Yamochi, G. Saito, R. N. Lyubovskaya
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Journal Title
New J. Chem.
Volume: 41
Pages: 6866-6874
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Crystal Structures, Optical and Magnetic Properties of Radical Anion Salts Based on Metal Phthalocyanines2017
Author(s)
D. V. Konarev, M. A. Faraonov, S. S. Khasanov, A. V. Kuzmin, Y. Nakano, A. Otsuka, H. Yamochi, G. Saito, R. N. Lyubovskaya
Organizer
The 12th International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Magnets (ISCOM2017)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Charge-Transfer Complexes Based on C2v-Symmetric Benzo[ghi]perylene2017
Author(s)
Y. Yoshida, S. Tango, K. Isomura, Y. Nakamura, H. Kishida, T. Koretsune, M. Sakata, Y. Nakano, H. Yamochi, G. Saito
Organizer
The 12th International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Magnets (ISCOM2017)
Int'l Joint Research
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