2017 Fiscal Year Annual Research Report
励起状態制御を基盤とした光機能性π造形システム
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 励起ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多環芳香族炭化水素誘導体及びその集合体の励起ダイナミクス(Intrinsic-π機能)について構造的な歪みや運動性(Dynamic-π機能)を絡めて主に合成化学的に制御し、特異な光機能を創出することを目的とする。代表的な多環芳香族炭化水素の一つであるコロネンは一般に電子ドナー性を有するが、電子求引性の置換基の導入により電子アクセプター性を示す。また、コロネンは導入する電子求引性のイミド基の数・位置を変えることで還元電位を制御できることが報告されている。本研究では、コロネン骨格に5員環あるいは6員環のイミド基を導入したコロネンイミド誘導体(Cor(5Im)2 およびCor(6Im)2)の電子移動還元特性の評価を行った。まず、種々の電子ドナーを用いて、コロネンイミドの光励起状態への分子間光誘起電子移動の速度定数をレーザー過渡吸収分光法により決定した。得られた速度定数と酸化還元電位の差から得られる自由エネルギー変化の依存性について比較検討を行った。その結果、Cor(5Im)2 の方がCor(6Im)2 に比べ小さい再配列エネルギーを有していることが分かった。最後に、Cor(5Im)2にペリレン分子を共有結合で連結したCor(5Im)2-Peryの分子内の電子移動過程を明らかにするためにフェムト秒過渡吸収スペクトル測定を行った。Cor(5Im)2-Peryはベンゾニトリルの拡散による律速を大幅に超えるで超高速電子移動の進行が確認された。一方、発光性のキラル多環芳香族炭化水素の合成にも成功し、次年度にその一連の物性評価を行う目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多環方族炭水素の合成やその物性評価には既に成功した。また、円偏光発光評価に向けた材料合成の準備も整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はおもに、昨年度合成したキラル多環芳香族炭化水素の分光特性評価やデバイス化など行い、当初の研究目標を達成する予定である。
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Research Products
(8 results)