2017 Fiscal Year Annual Research Report
Optically Active pi-Figuration Based on Planar Chiral [2.2]Paracyclophanes
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
17H05165
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60332730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シクロファン / 面性不斉 / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、新規光学活性四置換[2.2]パラシクロファンの合成と官能基変換に成功した。加えて、光学活性四置換[2.2]パラシクロファンと化学選択的薗頭-萩原カップリングを駆使することで、異種パイ電子系が積層した全く新しいタイプの光学活性分子を合成した。具体的な内容を以下に示す。 1.新たな面性不斉四置換[2.2]パラシクロファン、すなわち「bis-(para)-pseudo-meta-型四置換[2.2]パラシクロファン」の合成に成功した。ラセミ体のテトラブロモ[2.2]パラシクロファンを二当量のブチルリチウムと反応させたところ、pseudo-meta位でハロゲン-リチウム交換反応がおこり、ラセミ体のbis-(para)-pseudo-meta-型四置換[2.2]パラシクロファンを得ることができた。これに、カンファン酸クロリドをキラル補助基として作用させ、ジアステレオマー法によって光学分割することで、目的とする光学活性なbis-(para)-pseudo-meta-型四置換[2.2]パラシクロファンの合成に成功した。官能基変換により、二つのブロモ基と二つのトリフルオロメタンスルフォニル基をpseudo-meta位に有するビルディングブロックを合成することができた。 2.新規X字型面性不斉π共役系を構築した。これまでに合成に成功しているブロモ基一つとトリフルオロメタンスルフォニル基を三つ有する四置換[2.2]パラシクロファン化合物に対し、以前に報告した化学選択的薗頭-萩原カップリングを適応することで、異なるパイ電子系が中央のベンゼン環で積層した全く新しいタイプの光学活性パイ電子系積層分子を合成することができた。得られた分子は高輝度かつ高い異方性で円偏光発光することが分かった。なお、本研究は領域内共同研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しいタイプの面性不斉ビルディングブロックの合成に成功し、新たなパイ造形を可能となった点。 異種パイ電子系が積層した全く新しいタイプの光学活性分子を合成するができ、得られた分子が高輝度かつ高異方性で円偏光発光することを示した(領域内共同研究成果)。これにより、多種多様なパイ電子系の積層が可能であることを提案することができた点。 加えて、当該年度は領域内班員への面性不斉シクロファンビルディングブロックを提供し、かつ新たなX字型分子の集合特性を領域内共同研究として開始するなど、新たなパイ造形に向け共同研究に進展が見られたことから、本研究がおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、面性不斉[2.2]パラシクロファンをビルディングブロックとして種々の光学活性分子を合成してきた。すなわち、光学活性な二次構造を構築し、その円偏光発光特性を中心に物性を評価してきた。今後は、さらなる高次構造の構築を目指し、共同研究による自己組織化を中心に検討を重ねていく。また、自己組織化を促す置換基を面性不斉[2.2]パラシクロファンに導入することで、新たな光学活性ビルディングブロックの合成にも注力する。
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