2017 Fiscal Year Annual Research Report
Bridge of spin between the gas and the solid
Publicly Offered Research
Project Area | nano spin conversion science |
Project/Area Number |
17H05178
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
畠山 温 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70345073)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子エレクトロニクス / スピントロニクス / 原子・分子物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は,スピン移行の最終過程である固体の機械的回転運動の測定を進めるとともに,偏極気体原子と固体中スピン流とのスピンのやりとりの経路を探ることを目的として研究を行った。 機械的回転運動測定の実験装置は,試料を極細のワイヤーで吊るした高精度のねじり秤である。このねじり秤は真空中に置かれ,回転はレーザーの反射角度の変化で読み取る。1μrad程度の精度で読み取ることができる装置を作製した。ワイヤーの長さを調節し,外乱が少なくかつスピンからの微細なトルクを検出できるように装置の最適化を行った。つり下げる試料も,十分なスピン移行量を確保しつつも軽く,慣性モーメントが小さいものを検討し準備した。結果として,1/2波長板を使った光から固体への直接スピン移行は明確に測定することができた。引き続き,光からいったん気体原子にスピンを移行して,さらに気体を閉じ込める固体容器に移す実験を行った。それらしい信号は見えているがまだ小さく確実には結論が出せていないので,次年度にさらに装置の改良を行って測定を進める。 固体中のスピン流と気体スピンとのやりとりの経路を探る研究では,気体として放電で作る準安定ヘリウムを選定し,実験装置を組み上げた。表面をスピン偏極した白金薄膜から準安定ヘリウム原子へのスピン移行を検出する最初の実験も行った。これにより,今後,条件を最適化してスピン移行の経路を探っていくための準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械的回転を測定する高精度なねじり秤のシステムで,外乱が思ったより大きく,微小なスピントルクをはっきりと検出できるまでいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
機械的回転を測定するねじり秤の実験システムでは,スピントルクを大きくするための装置の改良とともに,外乱を小さくするための振動の低減やフィードバック系の開発などを行う必要がある。固体電子スピンと気体原子スピンとのやりとりを調べる研究では,実験装置の準備はほぼ終わったので,最初は小さいと思われる信号を捉えられるように,慎重に測定を進めて行く。これらの研究の成果を国内外の学会や論文で発表する。
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