2017 Fiscal Year Annual Research Report
粒子識別を目的とした新型泡箱検出器の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research |
Project/Area Number |
17H05192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸藤 祐仁 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (60396421)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 暗黒物質 / 泡箱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キセノンを用いた泡箱検出器の開発と各装置の製作を進めた。キセノン泡箱を実現するには、液体キセノンを保持する容器の製作、冷却機構の製作、外部と熱を遮断するための真空断熱容器の製作、過熱液体状態を作るための減圧装置が必要となる。それぞれ、 MgF窓を用いた圧力容器、スターリング冷凍機とコントローラー、ステンレス製真空断熱容器、ステンレス製圧力調整用ベローズの開発および製作を進め、その他キセノンガス用配管ライン、圧力コントロール用窒素ガスライン、圧力センサー、流量コントロールなどを実装した装置の製作を行った。 上記の製作を行った上で以下の試験を行った。冷却試験では、キセノン用圧力容器の冷却試験を行い、4時間程度でキセノンガスが液化するマイナス110度まで冷却可能な事と1度程度の変動で安定している事を確認した。一方で、最初に液体窒素を用いた冷却を行うと、冷凍機の挙動が不安定になることが判明したため、液体窒素による圧力容器の冷却は断念した。キセノンガスの液化試験では、キセノンガスを圧力容器に導入し、キセノンが液化する事を確認した。しかし圧力調整用のベローズが予想通りに冷却できていないことが判明したため、この部分を液体窒素で冷却する機構を装置に組み込んだ。圧力変動試験では、液体キセノンを容器に導入し、温度と圧力の相関を確認した。しかし、予想した以上に圧力が高いことが判明した。調査したところ、バルブが断熱容器の外側についているため、外部配管の熱による気化したキセノンの圧力がキセノン圧力容器に伝わっていることが判明した。 以上、今年度は泡箱検出器の基本的な製作が完了した。その一方で、予想していた挙動には到達していないため、装置の改良などが来年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
泡箱装置の基本的な製作は終了したものの、バルブの取り付け箇所の問題で熱流入が発生し、目的とする温度と圧力に到達できていない。そのため、キセノン泡箱の泡を確認するまでに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度問題になった真空断熱容器外にあるキセノンガスライン用のバルブとは別に、断熱容器の内部に小型の電磁弁を入れることで目標としている温度と圧力に到達できると考えている。すでに電磁弁の選定を済ませているため、購入後に装置を一部作り変え、再度キセノンを導入してキセノンの泡が確認できるかテストを進める予定をしている。
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Research Products
(2 results)