2017 Fiscal Year Annual Research Report
格子間活性サイトエンジニアリングの開拓と熱電発電材料・デバイス開発への応用展開
Publicly Offered Research
Project Area | 3D Active-Site Science |
Project/Area Number |
17H05207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 讓 東北大学, 工学研究科, 教授 (40261606)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 格子欠陥 / 熱電変換 / 局所構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光X線/光電子ホログラフィー測定に十分な大きさ(φ5 mm以上)のMg2SiおよびMg2Snの単結晶を育成した。育成方法は以下の通りである。MgとSiあるいはSnを化学両論組成で秤量し、固相反応法を用いてMg2SiあるいはMg2Snの粉末を合成した。その粉末をAr陽圧下でタンマン管に詰め、溶融合成を行った。溶融時の昇温速度や、保持温度および保持時間を変化させて、最も良質で諸測定に堪えうる大きさの単結晶を得ることに成功した。 蛍光X線/光電子ホログラフィー測定では試料表面が清浄であることが求められるため、Mg2SiとMg2Sn単結晶を大気中で劈開して準備した(111)面の清浄性をXPSで調査した。劈開直後の表面はカーボンで汚染されているが、それらの表面をXPSチャンバー内でイオンエッチング(それぞれ45 sと225 s)するとカーボンはほとんどなくなり、清浄表面が得られることを確認した。 次に、Mg 2pのXPSスペクトルを測定した。イオンエッチング前にはMg2SiとMg2SnともにMg 2pはシングルピークに見えるのに対し、エッチング後はMg2Siで明確に2つのピークが重畳している様子が確認された。Mg2SiにはMgIが存在すること、一方でMg2SnにはMgIが存在しないことから、Mg2Siで見られる2つのピークはMgIとMgRに対応していると考えられる。ピーク間のエネルギー差が約1 eVあることから、MgIに対応するMg 2pピークの角度分布パターンを測定することで、MgI周辺の局所原子構造を解明できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の様に、平成29年度の研究を通じて、蛍光X線/光電子ホログラフィー測定に供することができるMg2SiおよびMg2Snの単結晶を育成することができた。また、これらの単結晶を用いて、MgI周辺の局所原子構造を調査できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、この成果を基盤に蛍光X線/光電子ホログラフィー測定を実施するとともに、格子間活性サイトを精密制御して熱電性能を向上するという「格子間活性サイトエンジニアリング」を開拓し、格子間サイトに原子が存在する熱電発電材料の開発研究の発展に貢献したいと考えている。
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