2017 Fiscal Year Annual Research Report
シュライバーサイト由来リン化学種の反応を起源とする生命分子の生成反応
Publicly Offered Research
Project Area | Hadean Bioscience |
Project/Area Number |
17H05230
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清尾 康志 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (20313356)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学進化 / シュライバーサイト / ピロ亜リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
D-リボースとジホスホン酸との反応を実施し、生成物の構造を1H-NMR、31P-NMR質量分析を用いて解析した。その結果、反応系のpHを9±0.5に保つことで、複数のD-リボースのホスホン酸エステルが生成することが分かった。またリボースとの反応性生物は異性体も含め15種類程度存在し詳細な構造の解析が難しかったため、メチル D-リボシドをモデル化合物として用いて反応を行ったところ、シスジオールである2位 3位だけでなく一級水酸基である5位の水酸基も反応することが分かり、冥王代においてD-リボースがホスホン酸エステルとして活性化されていることが分かった。 また、上記リボースの反応をヒントにデオキシヌクレオシド、について同様の反応と生成物の解析を行いたところ、デオキシヌクレオシドの場合はリボヌクレオシドに比べて反応効率は低下するもののデオキシヌクレオシドの亜リン酸エステルが生成することが分かった。また、アミノ酸についても検討を行い、側鎖に水酸基をもつアミノ酸であるセリン、スレオニン、チロシンが亜リン酸エステル化されることも分かった。さらにC3炭水化物であるグリセルアルデヒドについても検討を行いホスホン酸エステルを与えることが分かった。これらの結果、シュライバーサイト由来の還元的リン化学種により、リボース、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アミノ酸、グリセルアルデヒドなど様々な化合物が亜リン酸化されることが分かり、さらにこれら化合物から亜リン酸化されたペプチド、RNAなどの核酸、グリセルアルデヒドを中間体とする解糖系などの生命システムが生成された可能性を解明することが重要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画していたリボース、1,4-アンヒドロエリスリトール、グリセルアルデヒドななどの亜リン酸化について予定通り解析することができた。また、当初計画に含まれなかったアミノ酸の亜リン酸化についても検討を行いその特性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討より、シュライバーサイト由来にリン化学種によりアミノ酸、炭水化物、デオキシヌクレオシドなど、様々な化合物が亜リン酸化されることが分かったため、本年度はそこからより高次の生体分子であるペプチドやRNA、DNAなどが生成した可能性を明らかにすると共に、初期解糖系などの生命分子システムが生成した可能性についても明らかにする。
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