2017 Fiscal Year Annual Research Report
RNA進化を可能にする冥王代の細胞構造の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Hadean Bioscience |
Project/Area Number |
17H05232
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市橋 伯一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20448096)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 区画構造 / RNA / 微小水滴 / 間欠泉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の2つの課題を遂行した。1)空気中微小水滴の調製法の確立、2)微小水滴内部でRNA複製反応を起こす条件の確立
超音波法、噴霧法の2つの方法で微小水滴を調製し、そのサイズ分布を計測した。その結果、どちらも数十マイクロメーターに中央値をもつサイズ分布が得られた。必要となる水溶液は、超音波法では10マイクロリットル、噴霧法では3ミリリットルが必要であった。ミリリットルサイズの反応液を用意することは困難であるため、今後は超音波法を用いることとした。 超音波法を用いて調整した微小水滴中でRNA複製反応を行った。反応が適切に区画化されているかどうかを検証するために、反応液中に大小2種類のRNAを混合し複製させた。反応液が微小水滴により区画化されていなければ、小さいRNAの方が速く増えるために優先的に複製する。これに対して反応液が微小水滴によって区画化されていれば、大きいRNAも増えることができるはずである。私たちは、超音波法によって調整した微小水滴中では大きいRNAが増えることを見出した。この結果は、微小水滴中ではRNA複製が起き、適切に区画化されていることを示している。また私たちは、空気中微小水滴でRNA複製を起こすためには、空気を水蒸気で満たしておくことと、高濃度のタンパク質が水滴中に必要であることを示した。 さらにRNAの進化実験を微小水滴中とバルクの水滴中で比較することを試みた。まずは、RNA進化を行うための条件設定を行い。進化が起きると期待される条件を見つけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、RNA複製を起こすことのできる微小区画の調製方法を確立することができたため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は微小区画中でのRNA進化を実証する。H29年度に確立した微小水滴作成法を用いて、RNA複製酵素とRNAの材料(NTP)を長期継代する。このRNA複製酵素存在下では、この酵素によって複製されるRNAが自発的に進化することが知られている。本研究ではこの進化の過程や結果が微小水滴化することによって、どのように変化するのかを明らかにする。その結果を論文としてまとめる。また、原始地球における細胞構造の可能性についても別途論文として発表する予定である。
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