2017 Fiscal Year Annual Research Report
原始生命におけるエネルギー通貨産生システムの再現
Publicly Offered Research
Project Area | Hadean Bioscience |
Project/Area Number |
17H05242
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
千葉 洋子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, ポストドクトラル研究員 (70638981)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質の熱安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATPを生成する既存の酵素(Acetyl-CoA ligase)を断片化したものを発現するプラスミドを作成し、実際に大腸菌にて発現した。その結果、断片化しても可溶性および熱安定性を維持するもの、可溶ではあるが熱安定性を下げるもの、不溶化するものが存在することが明らかとなった。熱安定性を維持していた断片化タンパク質は当初の予定通り熱処理により精製した。実験デザイン上断片化タンパク質に人工タグを付与することは好ましくないので、熱安定性を失ったものは疎水性カラムおよびイオン交換カラムを組み合わせて精製条件を確立した。 以上により得られた精製済み断片化タンパク質を混合してATP産生活性の有無を確認したところ、本酵素活性を示す組み合わせと示さない組み合わせがあることが明らかとなった。活性を有した断片化タンパク質の反応特性(DPおよびAcetyl-CoAに対する基質親和性および反応効率等)は、野生型のそれと同等であった。以上の結果より、現存の酵素タンパク質よりも短いペプチド鎖のタンパク質群でも高エネルギーリン酸化合物を生成する反応を触媒可能であることを示すという当初の目的を果たすことに一部成功した。 活性を有した断片化タンパク質をさらに断片化し、細かいタンパク質群で活性を有するものを得ることを試みた。しかし、再断片化したものは全て不溶化してしまい、さらなる実験に供することが不可能であった。そこで不溶化断片化タンパク質を可溶化するためにタンパク質表面のアミノ酸側鎖を疎水性のものから親水性のものに置換する、複数の不溶化断片化タンパク質を同時に可溶化させることで正しいフォールディングを取らせる等種々の解決策を試みたが、すべて失敗に終わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、1段階目の断片化には成功し、詳細な解析も完了した。一方で当初の目的である活性を有する短いアミノ酸配列(ペプチド)群の構築には難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的である活性を有する短いアミノ酸配列(ペプチド)群の構築に難航している原因は、断片化タンパク質の不溶化にある。そこで、断片化タンパク質の可溶化に様々な方法で挑戦する。 また、これまでに実験に供した断片化タンパク質群間で、活性を有したものと有さなかったもので何が異なるのか、その要因を明らかにする。具体的には、野生型タンパク質と断片化タンパク質群の間で、それぞれ複合体が形成されているか・されている場合はどのような状態かを比較することを予定している。
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