2017 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットの非線形光応答を用いる新規電気化学反応系の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
17H05254
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥本 司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60271029)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多元半導体 / I-III-VI族 / 非化学量論組成 / バンド端発光 / コア・シェル構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
AgInS2量子ドットは、高毒性元素を含むCdSeなどの二元半導体の代替材料として期待されているものの、その発光ピークは非常にブロードであるという欠点をもつ。高効率光反応に用いるためには、さらにその光特性を向上させる必要がある。本研究では、様々なAg/In比をもつAgInS2量子ドットを作製し、非化学量論組成が発光特性に及ぼす影響を評価した。 様々なAg/In仕込み比で対応する金属酢酸塩とチオ尿素をドデカンチオールとオレイルアミンの混合溶媒に添加し、250 ℃で加熱することでAgInS2量子ドットを合成した。さらに表面の欠陥サイトを除去するために粒子表面をGaSxシェルで均一に被覆して、AgInS2-core@GaSx-shell量子ドットを得た。仕込み比Ag/In=1.0で作製したAgInS2ナノ粒子は、820 nm付近に欠陥由来の発光ピークのみを示したが、前駆体の仕込み比をAg/In=0.67として作製したAgInS2量子ドットでは、700 nm付近の欠陥発光ピークに加えて590 nmに強いバンド端発光を示した。これは、Ag/In比の最適化によって、粒子内部の欠陥準位が除去されたためである。さらに、この量子ドットをGaSxシェル(膜厚:約1 nm)で被覆してAgInS2-core@GaSx-shellとすると、強いバンド端発光のみを示した。このことより、Ag/In比を最適化したAgInS2量子ドットにおいてもある程度の表面欠陥準位が存在するが、それはGaSxシェル被覆によりほとんど除去されたことがわかる。このように多元量子ドットにおいても、非化学量論組成の精密制御と表面被覆による欠陥サイトの除去を行えば、高品質な量子ドットを作製できることを見出した。この量子ドットは、新規光電気化学反応の光増感剤や新規オプトエレクトロニクス素子の開発に大いに役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、多元半導体からなるナノ粒子においても、非化学量論組成の精密制御と表面被覆による欠陥サイトの除去を行えば、高品質な量子ドットを作製できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究によって、高品質な多元量子ドットを作製することに成功した。これによって次年度以降に、高品質な量子ドットを用いる新規光電気化学反応の光増感剤や新規オプトエレクトロニクス素子の開発が可能となった。従って当初からの目的どおり、非線形光応答を利用する高効率な光エネルギー変換系の構築を目指す。
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Research Products
(9 results)