2017 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機複合分子協調による励起子ダイナミクスの精密制御と機能発現
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
17H05270
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機無機複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルカンチオール自己組織化単分子膜(SAM)を用いたナノクラスター (MPCs) は簡便に有機無機複合体を作製できる手法であり、光機能性材料として広く期待されている。加えてMPCsは、その粒径やアルキル鎖長の変化による分子間の配向制御が可能なため、高速な分子間反応を誘起できる。これまでに我々は、ペンタセン (TP) を金ナノ粒子へ被覆することで有機物の多励起子生成反応である一重項分裂 (SF) の高効率発現を達成した。本研究では、MPCsのさらなる光機能化に向けて複数の色素分子から構成されるMPCs、すなわち混合SAMの作製と評価を行った。具体的に、TPを修飾したMPCに電子アクセプターであるペリレンジイミド (PDI) を混合すれば、TPとPDI間の電子移動 (ET) 反応を誘起できる。加えて、PDIは、会合状態におけるエキシマー形成が知られ、TPとPDIを混合した場合にはこれら3つの光物理過程の競争反応となる。そこで本研究では、TPとPDIの混合比を変化させて被覆した金ナノクラスター を作製して、それら3つの光物理過程を混合比によって制御およびスィッチングすることを目的とした。まずは、TPとPDIの混合比が異なるMPCsを作製し、電子透過型顕微鏡 (TEM) および元素分析により構造評価を行った。その結果、いずれの系においても1.7 nm程度の粒径であると決定し、また、TPとPDIの金表面上の濃度比がMPCs作製時の仕込み比とおおよそ一致することが明らかになった。続いて、各MPCsの励起ダイナミクスを評価するためにフェムト秒過渡吸収測定を行った。その結果、TPの被覆濃度が高い場合はSFが主に進行し、その濃度を低くするにつれてET、エキシマー反応が支配的に進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属ナノクラスター上での混合自己組織化単分子膜による精密な光物性制御に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ペンタセン修飾量子ドットなど半導体材料系へ展開する予定である。
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