2017 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性画像化システムによる疾患に伴う生体組織の定量的評価
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
17H05279
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菅 幹生 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (00294281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エラストグラフィ / MRI / 超音波診断装置 / 粘弾性 / 定量的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
粘弾性という力学的性質を非侵襲的に得られる画像診断法として磁気共鳴画像診断装置(MRI)もしくは超音波診断装置(US)を用いた「エラストグラフィ」(以下それぞれをMREとUSEと呼ぶ)が開発され,粘弾性に基づくがんの良悪性鑑別など臨床研究が進んでいる.現状のエラストグラフィでは,生体深部領域の粘弾性率の微小な変化を定量的に捉えることが困難であるが,この問題を解決すれば,膵がんなどの早期発見や良悪性の鑑別,浸潤範囲の確定に有効と考えられる.本研究では,MRIを用いて生体深部にある小さな臓器や組織の異種スケールでの粘弾性や緩和時間などの多元情報をヒトや疾患モデル動物を対象に定量的に取得可能なシステムを構築し,疾患に伴う粘弾性変化と病理学的な変化との関係を明らかにすることを目的としている. 当該年度では,生体深部組織の粘弾性率分布を取得するために,臨床用MRIとMR顕微鏡を用いて開発したMREシステムを利用した.生体組織内に弾性波を効率的に発生させながら,複数周波数の弾性波を3次元的に取得するために,MRI撮像パラメータの他に,MRE撮像用の外部加振装置の振動周波数と振幅,位相数などのパラメータを生体模擬ファントムや動物の摘出臓器を対象とした実験をとおして最適化した.撮像対象に合わせた振動子の形状にするなど,MREシステムを改良した. また,高分子ゲルで作製した生体模擬ファントムの作製過程で超音波測定に必要な散乱体を溶媒中に調合することで,MREとUSEの両方で利用可能なファントムを開発し,両装置の特性評価に利用可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床用MRIとMR顕微鏡を用いて開発したMREシステムの改良と,MREとUSEの両方で利用可能なファントムを開発するなど,計画した内容を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に改良したMREシステムを用い,疾患モデル動物の摘出臓器などを対象とした測定を実施する.複数周波数と複数位相の弾性波を利用することで,形態情報と共に定量的な粘弾性率分布とその周波数特性などの多元情報を取得する. また,MREとUSEの両方で利用可能な生体物性模擬ファントムを利用して,両装置を比較評価する.
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