2017 Fiscal Year Annual Research Report
超高精細胸壁並行断面CTと人工知能によるびまん性肺疾患のコンピュータ支援診断
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
17H05292
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90335034)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / びまん性肺疾患 / 3D-CT |
Outline of Annual Research Achievements |
びまん性肺疾患とは、胸部X線CT画像上、両肺にびまん性陰影を認め、主に肺胞隔壁(間質)を病変の場とする間質性肺疾患の総称である。従来のびまん性肺疾患の画像診断は、軸位断CT画像の放射線科医による視覚的評価が主体であり、軸位断像のため頭尾方向への病変の広がりが認識しにくく、主観的評価のため読影者間の不一致率が高いことが問題であった。 研究代表者はびまん性肺疾患の病変が胸壁直下に好発する点に着目し、胸部3次元CT(3D-CT)画像データから、胸壁より一定の深さ(1cm, 2 cm, ...)で胸壁に並行な曲面のcurved MPR像を再構成すれば、全肺の肺病変を1画像に表示することが可能になると考え、胸壁並行断面CT(3D -curved high-resoution CT;3D-cHRCT)を開発した。 3D-cHRCTでは、これまで2次元の軸位断画像でしか診断できなかったびまん性肺疾患の肺内における3次元的な分布を1画像に表現することが可能である。まず3D-cHRCTにより間質性肺炎と肺気腫の定量評価が可能かどうかを検討した。結果として3D-cHRCTから計算されるそれぞれの定量値は、びまん性肺疾患の視覚的病勢評価および呼吸機能検査に基づく臨床的病勢評価と有意に相関していることが証明され、臨床における新たなバイオマーカーとなることが示された。本研究成果は原著論文として国際雑誌PLOS ONEに掲載された。 続いて本年度は間質性肺炎の視覚的タイプ分類(UIP pattern, Possible UIP pattern, Inconsistent with UIP pattern)が3D-cHRCTでも可能かどうかについて検討を行った。結果として、3D-cHRCTでも間質性肺炎のタイプ分類が可能であることを明らかにした。本手法を応用することでびまん性肺疾患の人工知能による質的診断が可能になるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として胸壁並行断面CTによるびまん性肺疾患診断に関する原著論文を世界に先駆けて発表することができたのでおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
超高精細CTについては当研究施設への導入が遅れているため高精細CTによる胸壁並行断面CT研究を継続する。今後は、人工知能(Deep Learning)による解析手法を導入し、3D-cHRCTのさらなる診断能向上を目指す。またびまん性肺疾患だけでなく、原発性肺癌のような限局性肺病変についても本手法の有用性を明らかにする。
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