2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of prediction method of bone strength using Multdisciplinary Computational Anatomy with solid damage mechanics
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
17H05300
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CT画像 / 有限要素法 / 骨粗鬆症 / バイオメカニクス / 損傷モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、CT-FEMの応用研究として、(A)続発性圧迫骨折の予測法の開発と(B)椎体強度と骨密度の相関関係の究明を試みた。また、基礎研究としては、(C)骨密度と弾性率の関係に関する数理モデルの見直しを実施した。 (A)については、椎体圧迫骨折が生じバルーン椎体形成術(BKP)を施した患者の術前と術後のCTから5椎体モデルを構築し、損傷モデルを導入した解析を行うことで続発性骨折の再現を行った。次に、骨折椎体の上下の椎体を抽出して、単独椎体で損傷解析を行い、各椎体の強度評価基準を設定した。この結果と5椎体モデルの解析結果を組み合わせることで、続発性圧迫骨折が生じる荷重値を推定することが可能となった。2名の患者で検討した結果、BKPによる骨折椎体の形状回復が良い場合は、BKPにより続発性骨折の危険性が低減できることが明らかになった。 (B)の研究では、脳神経外科を受診した81名程度の患者の脊椎CTから、178個の椎体を抽出し、各椎体の強度を評価した。得られた強度と腰椎の平均的YAM値(骨密度を反映する数値)を比較した結果、多くの椎体では、高強度は高YAM値に対応しているが、13個の椎体は正常なYAM値であるにも関わらず骨折の可能性が高い低強度を示すことが明らかになった。この結果は、骨粗鬆症診断における骨強度評価の重要性を示唆している。 (C)の研究では、共同研究機関である千葉大学整形外科で行われた検体大腿骨の強度試験結果を、CT-FEMの解析結果と比較した結果、一般的に利用されている弾性率評価式では実験結果を再現できないことが分かった。そこで、骨密度分布を考慮した補正式を提案し、解析を行った結果、実験結果を高精度で再現できることが示された。さらに、骨の微視構造を考慮した理論式の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように、CT-FEMを利用した臨床応用研究として医学系2研究機関(順天堂大学)・整形外科と京都府立医科大学・脳神経外科)との共同研究を実施し、ともに優れた研究成果を挙げることができた。さらに、基礎研究として、千葉大学・整形外科で実施された冷凍検体を用いた実骨構造体の試験結果と数値解析結果を比較する研究を行い、これまで用いられていた骨の弾性率評価法に問題があることを明らかにするとともに、修正式による精度向上の可能性を示すことができた。さらに、実験式の修正式の提案に加えて、骨の微視構造(アパタイト相とコラーゲン相)を考慮した複合材料の理論と海綿骨の多孔質構造を考慮した理論等を組み合わせた骨密度から弾性率を予測する理論式の構築に成功した。このように、応用研究から基礎的研究まで順調に進み、それぞれの研究で優れた結果を得ることができ、当初の計画を超える成果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、応用研究として、引き続き脊椎を中心とした研究を推進していく。新しい共同研究機関として佐賀大学整形外科と共同で、すでに脊椎関連の疾病へのCT-FEMによるバイオメカニクス解析を進めている。また、京都府立医科大学脳神経外科との共同研究として進めてきた単独椎体の強度評価については、各患者の既往症との関係(たとえば糖尿病等)との関係を調査するとともに、平均的骨密度が正常値であるのに低骨強度を示す椎体に対して、その構造力学的メカニズムを明らかにする予定である。 一方、基礎研究については、骨の微視構造から巨視的弾性率を予測する理論式を確立し、その式をCT-FEMに組み込みんだ解析を実施し、大腿骨の試験結果と比較することで、必要に応じて理論の修正を進めていく予定である。また、損傷解析で重要となる骨密度と降伏強度の予測式についても、弾性率と同様に実験式の修正と理論の構築の両面から研究を進めていく。
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Research Products
(9 results)