2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multiple skeletal muscle recognition technique in the thoracoabdominal region for respiratory muscle function analysis
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
17H05301
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 直希 愛知県立大学, 情報科学部, 講師 (00580945)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 呼吸筋 / 肋間筋 / 脊柱起立筋 / COPD / 筋モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目標は,骨格筋を用いた呼吸機能解析に応用可能な,胸腹部の骨格筋の複合認識技術の開発を行うことである.胸腹部の骨格筋について,筋線維の走行に基づく骨格筋の形状モデルを構築し,支配神経に基づく呼吸機能の複合解析を画像工学的アプローチにより実現する.ここでは,連携研究者および新学術領域内の研究班と連携し,骨格筋の画像認識に基づく呼吸筋の解析技術の開発に挑戦する. 本年度の成果は,呼吸筋に関する認識手法の構築と呼吸器疾患に関連する筋の自動認識を実現した.まず,呼吸筋の認識手法の構築では,胸鎖乳突筋と肋間筋の2つの呼吸筋について取り組み,胸鎖乳突筋は筋の走行および確立モデルを用いた自動認識を実現した.そして,肋間筋では,内肋間筋と外肋間筋の2つの筋領域内の筋の走行を表現する筋走行モデルの構築を行った.そして,筋の存在領域を初期領域として得ることができた.次に,呼吸器疾患の一つであるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)とその予後の関連が指摘されている脊柱起立筋の第12胸椎断面における筋横断面積の自動認識に取り組んだ.脊柱起立筋の自動認識では,機械学習による筋領域の自動認識に取り組み,ランダムフォレストによる領域自動認識と深層学習による領域認識の2つの手法の比較を行った.両手法ともに第12胸椎断面における脊柱起立筋の認識精度は90%超える一致率を得ることができた.次年度ではCOPD症例においてこれらの手法の検証を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全身骨格筋の認識と解析に基づき,筋領域内の筋線維と脂肪織の同時解析の実現による呼吸筋機能解析のための胸腹部骨格筋複合認識技術の開発という最終目標を達成するため研究計画書に沿って研究初年度の項目に取り組み,上記の研究実績の概要で述べた結果を得た. 研究初年度は,呼吸筋と付着する骨格に関する解剖学的構造のデータベース(DB)の構築を目標としており,具体的には,各CT画像内の画素を解剖学的定義に従って各骨格筋と骨の分類を計画していた.これは,解剖学医の協力のもと,精度の確認と必要な修正を加え,正確な解剖学的構造(対象筋肉と骨の位置と表面形状)を得る作業であり,肋軟骨におけるDB構築を行った.今後の研究の推進方策で述べるように,今年度作成された筋骨格のDBは胸鎖乳突筋,肋間筋および脊柱起立筋領域であるが,肋間筋は解剖学的には内肋間筋と外肋間筋に区別することが可能であり,これらの正解画像の作成が次年度の課題である.そのため,骨上の特徴認識により,より精密な筋の解剖学的構造単位毎のDB構築を目指す. 次に,骨格と骨格筋の相対的位置関係に注目し,各呼吸筋を識別するための最適な特徴点を骨格構造から取得する方法の検証実験を行った.解剖学の知識に基づいて骨格筋と骨格の連結点(ランドマーク)を選別し,各ランドマークを画像上から検出する手順を開発した.本年度の対象は胸鎖乳突筋,肋間筋および脊柱起立筋であったが,他の呼吸筋についても実現することが次年度の課題となる. 以上のように,当初の目標を達成し,呼吸筋認識のための初期手順の構築ができたものの,骨の微細特徴認識が精密な筋の部位別認識・解析に必要な可能性が新たに判明した.そのため,「おおむね順調に進展している」とし,今後は,以下で述べる研究の推進方策に基づき研究を継続する.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年である平成30年度では,平成29年度までに得られた結果に基づき,以下の項目について取り組むと同時に,これまでの実験結果の評価,検証を行う.同時に,画像データベースについても,前年度に引き続き構築を続け,認識,解析技術の向上および手法の検証に用いる. 認識された部位別呼吸筋について,まず,呼吸筋機能の鑑別に必要なヴォリュームの認識精度が得られているか評価を行う.ここでは,自動認識手順をCT画像データベースに適用し,認識性能の検証と手法の改善を行う.認識精度は,手動入力結果との一致度90%以上を目指す.さらに,上記で確認された部位別呼吸筋の認識技術に基づき,実際に骨格筋が存在する領域内を特定し,その骨格筋内に存在する筋線維および脂肪織の自動認識を行う.そして,それらの画像特徴量の量的関係を統計学的解析手法により,両者の相互関係の解析を行う.ここでは,画像上の骨格筋領域の体積から計算をするが,画像のテクスチャなどの特徴に基づき,筋線維や筋内の脂肪織の割合を用い,骨格筋量を正確に計測可能な計算式,および筋内脂肪織含有量の経時変化に基づく呼吸筋機能および予後予測の指標を臨床医の検討・議論により導き出す. 最後に,これまでの結果について,国際学会および国内学会において発表し,同時に論文発表を行う.これらは工学分野における新たな技術開発となるだけでなく,医学分野においても新たな知見が得られると期待される.特に,呼吸筋を計算機で自動解析し,臨床応用に直接結びつける新しい研究結果が得られる計画である.
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