2017 Fiscal Year Annual Research Report
海山アスペリティ/海山クリープ仮説の地質学的検証
Publicly Offered Research
Project Area | Crustal dynamics-Unified understanding of intraisland deformation after the great Tohoku-oki earthquake- |
Project/Area Number |
17H05312
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 飛鳥 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30570634)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 海山 / 付加体 / 沈み込み帯 / アスペリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
沈み込んだ海山とプレート境界型地震との関連については、プレート境界において地震時のアスペリティとして機能するとする「海山アスペリティ仮説」、上盤プレートが破壊されることによりクリープするという「海山クリープ仮説」の対立する2つの仮説が提案されている。これらの仮説の正否を地質学的証拠から検討することが本研究の目的である。平成29年度は、以下の4点について研究を行った。 (1) 文献調査:我が国において発行されている地質図および地域地質に関する既往研究を整理し、ジュラ紀付加体の中の海山サイズおよび変形・変成様式に関するレビューを行った。 (2) 地質調査:付加体中に見られる海山断片および周辺のメランジュ・剪断帯と考えられる、沖縄県名護市周辺の秩父帯および四万十帯の地質調査を行い、試料採取およびを変形構造の記載を行った。また、平成28年度までに既に採取した美濃帯舟伏山ユニットの海山付加地質体の薄片を作成し、微細構造観察を行った。 (3) 砂箱実験:大気海洋研究所に既設の砂箱実験装置を行い、プレート境界断層の発達に対する沈み込む海洋地殻の凹凸の影響評価を行った。その結果、沈み込む海洋地殻上の地形急変はプレート境界断層の厚化に大きく影響していることが判明した。 (4) 現世の海山沈み込み域前弧の層序解析:海山が沈み込んでいる南海トラフ室戸沖の反射法地震探査断面およびサブボトムプロファイラーによる浅部地下構造断面の解釈を行った。また、高知コアセンターにおいてODP Site 1175およびSite 1176のコアの再記載を行い、層序対比および年代決定のために火山灰層の試料採取を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した(1) 文献調査、(2) 地質調査、(3) 砂箱実験に加えて、(4) 現世の海山沈み込み域前弧の層序解析を行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
美濃帯舟伏山ユニットの試料を用いて被熱温度解析および応力解析を行う。また、平成29年度に開始した、南海トラフにおける海山沈み込み域前弧の層序解析に関して、鍵層である火山灰の層序対比と年代測定を進めることにより、海山通過時および通過後の前弧域表層の変形、およびその時間スケールを詳細に明らかにできると期待される。これらにより得られた結果を砂箱実験結果と比較することにより、海山通過時のプレート境界の強度変遷が明らかになると期待される。
|