2017 Fiscal Year Annual Research Report
単位・集積設計を基盤とする金サブナノクラスターのキラル化学
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
七分 勇勝 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (10446255)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クラスター / 幾何構造 / 電子構造 / 自己組織化 / キラリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アキラルな有機配位子を用いた金サブナノクラスター合成を行い、合成物の評価を行った。得られた金サブナノクラスターは、結晶状態ではラセミ混晶を形成することが単結晶X線構造解析から明らかとなり、ヘリシティーに基づく光学活性を示すことが期待された。実際、ラセミ混合物としての金サブナノクラスターをキラルカラムクロマトグラフィーを用いて光学分割することによって各エナンチオマーを得ることに成功し、円偏光二色性スペクトル測定からそれらの光学活性の評価を行った。また、キラルな有機配位子を用いた場合においても類似した幾何構造や光吸収特性を持つ金サブナノクラスターの合成に成功し、円偏光二色性や円偏光発光特性が確認された。これらの結果から有機配位子単体と金サブナノクラスターが示す光学活性の間に興味深い関連性があることが実験的に明らかとなり、金サブナノクラスターの幾何構造と光学活性の間の相関を検討するために理論計算による電子構造解析を実施した。さらに、これらの金サブナノクラスターが持つ高い堅牢性と幾何的対称性を活かし、各エナンチオマーへの位置選択的な配位子修飾にも成功した。一方、こうした金サブナノクラスターのキラル化学への展開を行う過程で、ユニークな配位子環境を持つ金クラスターを合成することにも成功し、実験・理論による解析から配位子環境の柔軟性が金コア構造と光学特性に大きな影響を与えることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究内容として当初予定していた光学活性を示す単位クラスターとしての金サブナノクラスターの獲得や単位クラスターへの位置選択的な配位子修飾に成功しているため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた知見を活かし、単位クラスターである各エナンチオマーが示す光学活性の起源を調べる。そして、配位子修飾を足掛かりとした単位クラスターの集積化を行い、単位・集積構造と光学活性の間の相関を評価する。
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Research Products
(3 results)