2017 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中における高効率・高選択的不斉酸化触媒反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05352
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 隆彦 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20264012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 金属錯体 / 不斉酸化反応 / ルテニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、市販のキラルなMosher試薬(ラセミ体のMosher酸クロリド(α-Methoxy- α-(trifluoromethyl)phenylacetyl chloride)、Mosh chloride;R体のMosher酸クロリド((R)-(-)-α-Methoxy-α-(trifluoromethyl)phenylacetyl chloride)、(R)-Mosh chloride)を用いて、様々な金属イオンと安定な錯体を形成する4座配位子であるトリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPA)にアミド結合を介して光学活性部位を導入し、そのTPA誘導体を有するルテニウム錯体の合成とキャラクタリゼーションを行った。 目的のキラルなTPA配位子は、既報の方法により、TPAの2つのピリジン環の6位にアミノ基を有する誘導体に上述のMosher試薬を反応させ、70%前後の収率で得られた。そのビスMosherアミドTPA配位子(Mosh2-TPA)をエタノール中で[RuCl(μ-Cl)(p-cymene)]2と反応させ、1つのアミド酸素がRu(II)中心に配位した単核ルテニウム(II)錯体、[RuCl(Mosh2-TPA)](PF6) (1)を収率88%で得た。この錯体は、アセトニトリル中で配位アミド酸素がアセトニトリル配位子に置換された錯体、[RuCl(Mosh2-TPA)(CH3CN)](PF6) (2)に変化した。このような配位アミド酸素がアセトニトリル分子との置換によって解離する現象は、これまでに報告してきたビスアミドTPAを配位子とするRu(II)錯体では見られず、この錯体特有のものである。錯体2について、NMR及びESI-MS測定によるキャラクタリゼーションを行った。1H及び19F-NMRスペクトルから、錯体2の2つのMosherアミド部位は非等価であることがわかった。その錯体の円偏光二色性スペクトルでは、クロロ配位子からRu(II)中心への電荷移動吸収帯にコットン効果が現れ、配位子のキラリティが錯体の電子構造に影響を及ぼしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の錯体1にみられる、配位アミド酸素がアセトニトリル分子との置換によって解離する現象は、これまでに報告してきたビスアミドTPAを配位子とするRu(II)錯体では見られず、この錯体特有のものである。錯体2のアセトニトリル配位子は、キラルなMosherアミド部位の間に位置しており、その配位座が活性点となってRu(IV)-オキソ錯体を生成させることができれば、狙いとする不斉酸化反応が十分可能であることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に確立されたMosherアミド部位を有するTPA配位子及びそのルテニウム錯体の合成経路を踏襲し、得られたルテニウム錯体のキャラクタリゼーションを完遂する。その中でも、得られた錯体、特に錯体2に関するX線結晶構造解析を行い、絶対構造を含めた構造決定が必須である。また、錯体2の生成に基づき、アミド酸素が配位した錯体1の水溶液中で生成する化学種のキャラクタリゼーションを行う。もし、水溶液中で錯体1が変化せず、アミド酸素の配位が保たれる場合は、クロロ配位子を銀塩で排除し、ルテニウム(II)-アクア錯体を合成する。 得られたRu(II)-アクア錯体について、分光学的手法及びX線結晶構造解析、電気化学測定によるキャラクタリゼーションを行う。電気化学測定により決定された酸化還元電位に基づき、電子移動酸化剤を用いてRu(IV)-オキソ錯体の生成を試みる。その分光学的キャラクタリゼーションとともに、水溶液中でのラセミアルコールの酸化反応を行い、速度論的光学分割の可能性を探る。
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Research Products
(47 results)
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[Presentation] Gas Adsorption Properties of Hydrogen-Bonded Networks Consisting of Non-Planar Metalloporphyrins2018
Author(s)
MARCHI OGAWA, Bruno Kazuhiro; ISHIZUKA, Tomoya; KOTANI, Hiroaki; TABE, Hiroyasu; YAMADA, Yusuke; KOJIMA, Takahiko; ISHIZUKA, Tomoya; KOTANI, Hiroaki; TABE, Hiroyasu; YAMADA, Yusuke; KOJIMA, Takahiko
Organizer
日本化学会第98春季年会2018
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