2017 Fiscal Year Annual Research Report
Water clusters in non-symmetric hydrophobic coordination space
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05357
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20598586)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 多環芳香族化合物 / ヘキサベンゾコロネン / 結晶 / 多孔性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では配位結合を基盤とする結晶性多孔体である金属-有機構造体(MOF)の構成要素として未利用の巨大π共役分子を用いることで、水クラスター合成のための一義的な結晶性疎水空間を構築し、それら疎水性空間において、キラルな構造を有する水クラスターをはじめとした特異な水クラスター形成とクラスターが示す特別な現象を研究対象とする。従来のMOF合成では棒状配位子が用いられることが多く、大きな疎水性平面を有する配位子(巨大π共役系分子)は用いられてこなかった。これは配位子合成の手間と配位子の溶解性の低さに依存したMOF合成の難しさのためであった。本研究代表者は、巨大π共役系分子としてヘキサベンゾコロネン(HBC)に着目し、コアにHBCユニットを含む配位子(H2HBCL)合成を行い、配位子H2HBCLを用いたMOF合成を試みた。H2HBCLと硝酸亜鉛六水和物のN,N-diethylformamide (DEF)溶液中で反応させると、オレンジ色のブロック状結晶が得られた。単結晶X線構造解析の結果、得られた結晶はHBCに囲まれた1次元チャネルを有する多孔性結晶であることが明らかとなった。さらに、単結晶試料を加熱することにより、細孔にゲストとして内包されたDEFを除いた単結晶試料についてもX線構造解析に成功した。今回合成したHBC平面を内包した多孔性結晶には構造柔軟性が発現していることがわかった。ゲスト除去に伴う構造変化については以下の通り。(1)亜鉛(Zn2+)の配位環境:4配位から5配位へと変化。(2)2次元シート構造:Zn2+錯体がHBCLのカルボキシレートにより連結された二次元シート構造を維持。(3)細孔構造: Zn2+錯体とHBCLの位置関係が大きく変化し、グリッド構造が縮むような変化を見せた。結果として空隙率が大きく減少した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた巨大π共役系物質を用いた結晶性細孔の合成に成功し、その構造を単結晶X線構造解析により明らかにすることに成功した。さらに、ゲスト除去後の大きく構造変化した細孔の様子も同じく単結晶X線構造解析により詳細に調べることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回合成したHBC平面を内包した多孔性結晶には構造柔軟性が発現していることがわかった。そこで、巨大π平面に囲まれた1次元細孔への分子吸着特性を調べる目的で、二酸化炭素、ベンゼン、メタノールといった吸着質の吸着等温線測定を行う。さらに、得られた細孔への水分子の導入による水クラスター合成を行う予定である。
|
Research Products
(5 results)