2017 Fiscal Year Annual Research Report
螺旋分子の内側を用いたアシンメトリック配位場の構築と機能化
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣戸 聡 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30547427)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘリセン / 曲面π共役分子 / 金錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ジヒドロフェナジンは良好な電子輸送性材料として期待されつつも、その合成法の欠如によりあまり研究されていない。我々は今回、アミノアントラセンの酸化によりπ拡張ジヒドロフェナジンの合成に成功した。生成したジヒドロフェナジンはX線結晶構造解析により、非対称な鞍型構造をしていることを明らかにした。さらに、この分子が化学および電気酸化により、吸収スペクトルを可視から近赤外領域まで変化させるとともに、構造を鞍型からねじれ型に変化させる特性を示すことを見出した。以上の成果はChem. Asian. J.誌に報告し、本誌のFront Coverに選出された。現在この手法をポルフィリン金属錯体に拡張し、非対称かつ電気刺激応答性のある配位空間の創出を目指して研究を進めている。 2. 我々は以前の研究で一方向にねじれたポルフィリン金属錯体の合成を報告している。今回さらに、ポルフィリンのβ位に置換基を導入した類縁体の合成に成功した。その結果、メチル置換体は固体中で階段型構造となり、無置換体と異なる結果を示した。一方、溶液中では溶媒の極性および温度に依存して吸収スペクトルが変化する挙動を示した。NMRおよび理論計算より、この変化が階段型からねじれ型への構造変化によるものと突き止めた。この結果は環境応答性の分子ワイヤーの創出に繋がる有用な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者が2018年4月より所属を異動し、新たに研究室を立ち上げることになった。その準備および整理のため、研究の遂行がやや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の目的であるヘリセンの金属錯体を主に進めていく。現在、金錯体および白金錯体の合成に成功しているが、目的であるリン光は観測されていない。これについては配位子および基質に問題があると考えており、その解決策も見出している。今後はこの手法を基に、優れたキラル発光を示す螺旋分子と、それを用いた機能性の発現を開拓していく予定である。
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