2017 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性配位高分子の細孔壁修飾と細孔壁運動による細孔内静電場への摂動的影響の評価
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05364
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土方 優 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (70622562)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 理論計算 / 静電場 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論計算によって多孔性配位高分子が形成する細孔空間内の静電場を評価し、細孔壁修飾による静電場への摂動的影響の評価、さらに細孔壁運動がもたらす実効静電場の提案を目指す。本年度はウルトラマイクロポアを有する多孔性配位高分子を計算対象とし、金属種の違い及びアニオン配位子の違いによって得られる静電ポテンシャルの違いについて検討を行い以下の結果を得た。 (1)各骨格の構造最適化を行い、得られた構造を詳細に調べることで金属種の違いによって(つまり、金属の電子状態によって配位子金属間の結合の変化が起きるために)構造の収縮が起き、ガス分子吸着エネルギー、特にCO2の場合に顕著に現れることを明らかにした。 (2)細孔壁を形成するアニオン配位子の大きさを変化させることで静電ポテンシャルが変化することも確認した。さらに、この変化はガス分子吸着エネルギーにも大きな影響を与えており、ほぼ同じ細孔径と細孔構造においてもガス分子の吸着能が制御可能となる可能性を示唆している。一方で中性配位子を長くした同型の骨格の計算も行ったが、この場合、配位子が長くなることで空孔サイズが大きくなり、細孔壁の変化が空間へ及ぼす影響はほぼ見られなくなったことから、現在注目している骨格に注力して検討を行うこととした。 (3)翌年度の準備として、(1)と関連して重要となると考えられる細孔壁の運動に関する検討を始めた。ゲスト分子の存在下・非存在下における細孔壁のダイナミクスの違いを検討するため最適な計算条件の検討を行い始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた細孔の静電ポテンシャルの評価を終え、翌年度のダイナミクスを含めた検討への準備に入れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた最適化構造を用いて、第一原理分子動力学計算を行い細孔壁運動を含めたポテンシャルの評価を行う。得られたトラジェクトリーより、静電ポテンシャルに対して時間平均を行うことで実効静電場を得る。さらに、置換基を導入した場合も同様に実効静電場を評価する。この骨格1や骨格2との差分をとることで、置換基導入によるその置換基の摂動的な実質的効果として得る。
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Research Products
(9 results)