2017 Fiscal Year Annual Research Report
対称性破壊型配位集積化による多孔性ゲルの創製
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 准教授 (90452276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 多孔性材料 / 超分子重合 / ゲル / ソフトマテリアル / コロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「対称性破壊型配位集積化による多孔性ゲルの創製」では、分子レベルで構造制御された高対称性の金属錯体超分子多面体(Metal-organic polyhedral: MOP)を構築素子とし、対称性を破壊する異方的な連結により 錯体ネットワークを構築することで、配位高分子ゲルを創製することを目的とする。特に、ゲルが本質的に有す るマクロスケールでのレオロジーと、MOPが本質的に有する内部空間を用いた分子レベルでの吸着能を同期的に発動させる全く新しい多孔性ゲルを創出する。さらに、MOPの有する内部空間にガス分子を吸着させることで、 固相、液相を有するゲルに気相での制御を導入することが可能になり、物質の三態が全て融合した全く新しい材料創出へと導く。 今年度はロジウム二核パドルウィール錯体を基本骨格とした、立方八面体構造を有するMOP([Rh2L2]12: L = イソフタル 酸誘導体)を用いた。ビスイミダゾール系配位子を用いてロジウム二核パドルウィール錯体の軸位に配位させMOPを超分子重合により連結することで有機溶媒を含んだソルボゲルの合成に成功した。動的光散乱測定によりその詳細な自己集合過程を解明し、このゲル化反応が速度論的に補足された準安定状態を経由していることが明らかとなった。本成果はNature Communications誌に発表した。 また、直線型のMOPを用いいた研究も展開した。その研究の過程で、直線型MOPが溶媒によって様々な集積状態を取りうることを明らかにし、またその集積状態によって吸着特性が大きく変化することを見出した。この成果はCheimcal Science誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、金属錯体多面体を用いてゲルを合成することに成功した。特に、熱力学的に安定な状態ではゲル化はおこらずコロイド粒子が生成し、速度論的に安定な状態を経由することでコロイド粒子が結合したコロイドネットワークを形成し、その結果としてゲル化が起こることが明らかになった。最終的に合成されたゲルは超臨界二酸化炭素で処理することによりエアロゲル化することが可能であり、吸着特性を測定したところ完全にアモルファスな金属錯体材料にもかかわらず、マイクロ孔に由来する吸着現象を示すことがわかった。これは、結晶性PCP/MOFと似たような物性であるが、アモルファス材料で見られた初めての例である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MOPに非対称性を導入する方法の開発を行う必要がある。また吸着特性もPCP/MOFと比較するとかなり小さくその吸着能を向上させることが大きな課題であるといえる。
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Research Products
(2 results)