2017 Fiscal Year Annual Research Report
Isolation and asymmetric catalytic activity of asymmetric metal clusters
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
17H05385
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
根岸 雄一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (20332182)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アシンメトリー / キラル / 金属クラスター / 機能性集積型錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
微細な金属コアをもつチオラート保護金クラスター(Aun(SR)m)は、バルク金では見られないサイズ特異的な構造・物性・機能を示すことから、機能性集積型錯体として高いポテンシャルを有している。そうしたAun(SR)mクラスターにおいて、一部のクラスターにはいくつかの要因により光学異性体が存在する。Aun(SR)mクラスターは、多くの酸化・還元反応に対して高い触媒活性を示すため、それらアシンメトリAun(SR)mクラスターは、キラル触媒として高い可能性を秘めている。本研究では、代表的なAun(SR)mクラスターの一つであるAu38(SR)24を、光学異性体毎に分離することに取り組んだ。Au38(SC2H4Ph)24(SC2H4Ph: フェニルエタンチオラート)については、単結晶X線構造解析により光学異性体が存在し、これらを分離する上では、キラルカラムを用いたHPLCが有効な手段であることが明らかにされている。一方で、これらの光学異性体をキラル触媒として利用するためには、収量を高めることが必要となる。今回私たちは、リサイクル分取HPLC(日本分析工業株式会社)と分取用キラルカラムCHIRAL ART Cellulose-SB (250 mm×20 mm I.D.)(YMC)を用いることで、Au38(SC2H4Ph)24の光学異性体を、高い収量で得ることに成功した。移動相には混合溶媒(hexane:2-propanol = 9:1)を用い、流速は9.9 ml/minとしたところ、Au38(SC2H4Ph)24の光学異性体を、高い収量で得ることに成功した。今後はこれらのクラスターをキラル触媒として利用し、本領域の目指す「集積型錯体における構造の非対称性の制御」および「物性・機能に異方性・指向性を有する新機能分子・材料の創製」への貢献を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、アシンメトリAun(SR)mクラスターの光学分離を目的としている。本年度は、これを実現することができたため、 現在までの達成度を「おおむね順調に進行している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アシンメトリーAun(SR)mクラスターのキラル触媒としての可能性と構造-物性相関の解明に取り組む。 不斉触媒能の解明:アシンメトリーAu38(SR)24については既に,不斉触媒能を明らかにしている。本研究では,そうした反応に加え,単離した全てのアシンメトリーAun(SR)mクラスターを対象に,金属クラスターが触媒活性を示す不斉反応について触媒能を調べる。 構造解析:触媒能と電子/幾何構造の相関について知見を得るため,単離したアシンメトリーAun(SR)mクラスターについて,以下の構造解析を行う。電子構造は円二色性分光及び光学吸収分光により調べる。光学吸収分光については,常温下での測定では,振動励起に起因して,多くの遷移が重なった複雑かつブロードなピークを有するスペクトルのみが得られる。本研究では,低温(10 K)にて測定を行うことで,スペクトルのブロード化を抑え,電子構造の詳細の観測を実現する。また,広域X線吸収微細構造解析を行うと,構成原子の電荷状態の詳細を明らかにすることが可能である。そこで,電子構造の解明には,X線吸収微細構造解析も併用する。この測定は,SPring-8にて実施する。幾何構造については,単結晶X線構造解析により明らかにする。Aun(SR)mクラスターの単結晶X線構造解析は,金属クラスター研究において未だ難易度の高い実験である。しかしながら,申請者の研究室には,昨年度より,金属錯体の単結晶X線構造解析を専門とするSakiat Hossain博士が参画している。本研究では,そうした技術を有する博士研究員と協力することで,一連のアシンメトリーAun(SR)mクラスターの単結晶X線構造解析を実現する。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] Au25-Loaded BaLa4Ti4O15 Water-Splitting Photocatalyst with Enhanced Activity and Durability Produced Using New Chromium Oxide Shell Formation Method2018
Author(s)
W. Kurashige, R. Kumazawa, D. Ishii, R. Hayashi, Y. Niihori, S. Hossain, L. V. Nair, T. Takayama, A. Iwase, S. Yamazoe, T. Tsukuda, A. Kudo, Y. Negishi
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Journal Title
J. Phys. Chem. C
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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