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2017 Fiscal Year Annual Research Report

超弦理論におけるモジュライの物理について

Publicly Offered Research

Project AreaNew expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure
Project/Area Number 17H05395
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

小林 達夫  北海道大学, 理学研究院, 教授 (60322153)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords超弦理論 / モジュライ
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、コンパクト空間上の超弦理論特有のモジュライ場と呼ばれるモードの研究である。モジュライは、コンパクト空間の幾何学的変形の自由度に由来するものであるが、単純なコンパクト化において、モジュライ場は質量ゼロの平坦なポテンシャルをもっている。しかし、十分大きな質量をもち、特定の真空期待値をもたないと現実世界と矛盾する結果となる。このような問題をモジュライ固定の問題とよぶ。
これまでは、非摂動論的効果を仮定し、モジュライが固定されるとされてきたが、我々はゲージ群や3世代のクォーク・レプトンが現れるコンパクト空間上のDーブレーンインスタントン効果を具体的に計算し、このような現実的な模型において、モジュライが固定されることをしめした。このように、現実的なコンパクト化の枠組みで具体的にモジュライ固定を研究した論文は、希少であり、超弦理論と現実の素粒子の世界を結びつける上で重要な研究成果である。
上述のように非摂動論的効果によるモジュライ固定がこれまで主に研究されてきた。しかし、我々は摂動論的に効果を見直し、超対称が破れている場合に、量子効果によりモジュライのポテンシャルが生成され、モジュライが妥当な値に決まることを示した。このポテンシャルの形は、超対称性粒子の質量に依存している。つまり、ゲージ群やクォーク・レプトンの数などによりポテンシャルの形が決定される。したがって、このようなシナリオも超弦理論と現実の素粒子の世界を結びつける上で非常に重要な研究である。
一方、上述のように摂動論、非摂動論的効果によりえられたモジュライ、および、その虚部のアクシオンのポテンシャルのインフレーション等への応用やインフレーション後の宇宙の発展の歴史などについて、宇宙論的応用についての研究も行い、興味深い結果を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

上述のようにモジュライ場の自由度は、コンパクト空間上の超弦理論特有のモードであり、そのモジュライが関連する物理を探ることが、超弦理論の間接的検証につながり、そのことが本研究課題の目的である。モジュライ固定の問題は、ゲージ群やクォーク・レプトンの世代数など現実的な素粒子のモードの研究とは独立に議論できると仮定され、これまでこの2つを切り離してた議論がなされてきた。しかし、この点は自明ではない。我々は実際に現実的なゲージ群と3世代のクォーク・レプトンを導出するコンパクト空間において、具体的に非摂動論的効果を計算し、モジュライ固定が可能であることを示した。この部分は当初の予定通り順調に進んできたと判断する。
一方で、モジュライのポテンシャルが確かに、古典レベルでは平坦であるが、ある特定のコンパクト化においては、その真空構造が、超対称性が破れている場合と破れていない場合をつなぐものであることを発見し、摂動論的量子効果を考慮すると、超対称性が破れて、モジュライの固定が可能であることを発見した。このことは、当初予想していなかった発見である。したがって、当初の計画以上に進展していると判断した。実際に、この発見以降、摂動論的効果を見直し、摂動論的効果によるモジュライ固定という新しいシナリオを提案し、その様々点を現在検討中である。

Strategy for Future Research Activity

これまで述べてきたように、モジュライという自由度は、コンパクト空間上の超弦理論特有のモードであり、そのモジュライ場が関連する物理を探求することが、コンパクト空間上の超弦理論の間接的検証へつながる。そのことが本研究の課題である。そして、これも上に述べたことであるが、モジュライの固定に関しては、我々は摂動論的効果を考慮した新たなシナリオを提案した。このシナリオにおいては、モジュライのポテンシャルの形は、ゲージ群やクォーク・レプトンの数などに依存し、ポテンシャルの最小値が決定される。このシナリオは、コンパクト空間のモジュライとゲージ群やクォーク・レプトンの世代数等を関連付ける興味深いシナリオである。したがって、具体的現実的な素粒子のモードを出すことが知られているコンパクト空間に我々のシナリオを適応し、具体的にモジュライ固定の問題を解析する計画である。まずは、我々のシナリオがうまく働くかどうかを具体例で確認していく。実際に、現実的な素粒子のモードを導くようなコンパクト空間はかなり多く知られている。比較的単純なコンパクト空間において、我々のシナリオがうまく働くことが確認されれば、様々なコンパクト化に適応を行い、個々のコンパクト空間の間の比較を行う。モジュライの真空期待値の値は、低エネルギー有効理論のゲージ結合や湯川結合の大きさを決定するので、そのような定量的比較も行え、そのことでより現実的なコンパクト空間の取捨選択につながる。

  • Research Products

    (8 results)

All 2017

All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 6 results,  Open Access: 5 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Polyinstanton acion inflation2017

    • Author(s)
      T.Kobayashi, S.Uemura, and J.Yamamoto
    • Journal Title

      Phys. Rev.

      Volume: D96 Pages: 026007:1-7

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.96.026007

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Supersymmetry preserving and breaking degenerate vacuum, and radiative moduli stabilization2017

    • Author(s)
      T.Kobayashi, N.Omoto, H.Otsuka, and T.H.Tatsuishi
    • Journal Title

      Phys. Rev.

      Volume: D96 Pages: 046004:1-10

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.96.046004

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Realization of a spontaneous gauge and supersymmetry breaking vacuum2017

    • Author(s)
      T.Kobayashi, Y.Omura, O.Seto, and K.Ueda
    • Journal Title

      JHEP

      Volume: 11 Pages: 073:0-19

    • DOI

      10.1007/JHEP11(2017)073

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] A viable D-term hybrid inflation model2017

    • Author(s)
      K.Kadota、T.Kobayashi、K.Sumita
    • Journal Title

      JCAP

      Volume: 11 Pages: 033:0-16

    • DOI

      10.1088/1475-7516/2017/11/033

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Zero-modes on orbifolds: Magnetized orbifold models by modular transformation2017

    • Author(s)
      T.Kobayashi, and S.Nagamoto
    • Journal Title

      Phys. Rev.

      Volume: D96 Pages: 096011:1-16

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.96.096011

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Toward pole inflation and attractors in supergravity: Chiral matter field inflation2017

    • Author(s)
      T.Kobayashi 、O.Seto 、T.H.Tatsuishi
    • Journal Title

      PTEP

      Volume: 2017 Pages: 123B04:1-12

    • DOI

      10.1093/ptep/ptx166

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Moduli phenomenology and cosmology2017

    • Author(s)
      小林達夫
    • Organizer
      Exceptional Groups as Symmetries of Nature '17
    • Invited
  • [Presentation] Towards realistic string models and moduli stabilization2017

    • Author(s)
      Tatsuo Kobayashi
    • Organizer
      The KMI workshp "GUTs"
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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